俳優発声実践(2/28)                      《ことば系》

2月28日(木)俳優発声実践

講座テーマ「日本語の特徴⑤ 副詞、形容詞の形と仕事」

[Ⅰ]副詞
 ・用言を修飾する(動詞、形容詞、助動詞)
  たまに名詞、別の副詞を修飾する
 ・活用しない
 
 日本語の場合
 ・状態:動きの状態「すぐに」「ときどき」
 ・程度:疑問、禁止、感動「もっと」「かなり」「とても」「ときどき」
 ・叙述:決まった言い回し「決して~ない」「なぜ~か」「ぜひ~たい」
 ・指示:        「こう」「そう」「ああ」「どう」のみ
 ・擬態語、擬音語:「ぽたぽた」「すらすら」
  「全然~ない」だったのが肯定にも使われている現在
 ・推量:「おそらく」「たぶん」「さぞかし」
  打ち消し推量「まさか」「もしや」
 
 英語→形容詞+ly 美しい→美しく

[Ⅱ]形容詞
 ・ものの様子を表す→活用する
 ・名詞を修飾する
 ・名詞+い:青い、汚い
 
 ◎形容動詞(分類しない→広辞苑)
 ・外来語で様子を表す→名詞+助詞
 ・活用する→名詞+だ 「曖昧だ」
 ・色はすべて形容詞ではない
  色そのものは形容詞、白、赤、青、黒
  「色」をつけて形容詞になるもの、黄、茶
  物の色の転用

[Ⅲ]副詞、形容詞の例文をつくってみる
 副詞
 ・状態「細々と」「やっと」「そっと」「ずっと」「ぱっと」 よく動詞につく
 ・程度「なかなか」「ゆっくり」「ほどほどに」「よっぽど」「よく」 よく形容詞につく
 ・叙述「もし~なら」「仮に~でも」
 ・指示

 ◎副詞、形容詞、形容動詞の概念、用法を知っておくといい
 ・文語にしてみる「ことばとしてありかなしか」
 ・何でもありにしないためにはっきりさせる 情動
 ・情緒に入れない
 ・シャープにする
 ・うやむやにしない
 ・流れない
 ・「~的用法」をつかまえる
 ・現代の台本をとらえやすくなる

◆本日の磯貝語録
 副詞、形容詞、形容動詞の概念と用法を知っておくと、言語を立体的、機能
 的に表出できるようになる。 

◆本日の感想
 副詞、形容詞について発表しました。日本語の形と各々の仕事をちゃんとす
 る頭で読むと、台本の読み方にも影響することだと知りました。ただ、漫然と
 意味や気持ちに流されていたなあと思いました。

俳優発声実践(2/15)                      《ことば系》

2月15日(金)俳優発声実践

講座テーマ「日本語の特徴④ 助詞、助動詞を学ぶ」

[Ⅰ]助詞「が」
 (1)格助詞  車が動いた  きれいだがくさい   富士が嶺
 (3)接続助詞 心が折れる  まずいが安い     君が代
 (6)連体助詞 子供が歌う  気持ちいいが汚れた  城ヶ島
         私が○○です 混んでいるが乗る   太夫が子供/鬼ヶ島
                                           ↓
                              「け」のなまり 強くださない

 ・「仕方がない」格助詞の働きをあまりしていない
 ・作家が考えないで書いた文章は、どう声にするか、話し手が気をつける。
 ・助詞の仕事をさせるためにしっかり音にする。使い分ける。外国人に
  通じるサンプル
 ・助詞がつなぎ方を変える。(3)は後ろを強調する。気にしないと(1)になってし
  まう。
  「気持ちいい」が汚れた」は格助詞になってしまう。
 ・助詞をたてると文が生きる。助詞のおかげで文章がわかりやすくなる。

[Ⅱ]助動詞
 過去の「た」はしゃべり言葉に少ないので、音声にするのが難しい
 資料:10種類の例をあげて声にだしてみる

 書いてあるものを区別して読めるか、そして喋れるか

 <助動詞演習>
 ②「ら」抜きことばは可能語だけ
  可能と受身の区別、尊敬語もごちゃごちゃになっている
 ③過去と完了の区別
  「昔のこと」と「終わったこと」→経過がある
  試合に勝った  大人になった
 ④やりきれない(否定の度合い) 形容動詞とかぶさる

 ◎まず語を考える→次に文の構造を考える。はじめに語の意味を考えない。

 ⑥推量/雨が降っているようだ
 ⑦伝聞/「-だそうだ」「-たそうだ」
 ⑧推定/近づくらしい=近づいているらしい
 ⑨推量/死んだろう=死んだだろう
 ⑩指定/「あれです」「これです」指定語

 ・形容詞、形容動詞、副詞でもっと豊かになる
  キャラクタが作りやすい

 ・解釈次第のあやふやなものを明確にする喋り方
 ・芝居は語でやる。時代背景や作家性が現れる
 ・語に対する意識。小中学校以来の振り返り。思考が変わる。
 ・何気なく普段喋っていても、正確に理解しているとは限らない
 ・英語の脳で日本語を喋る。置き換えてみる。
 ・奥ゆかしい曖昧さで洗練された日本語をつくる
 ・はっきり言わない中でも上手に伝えるセンスが必要 和歌
 ・何を頼りに日本語とするのか。語の運用・音声化のおさらいをしよう。

◆本日の磯貝語録
 助詞を立てると文が生きる。助詞を抜くと文が死ぬ。
 助詞の用法を正確に理解し、書いてあるものを読み分けた上で、話し伝える
 ことが必要。 

◆本日の感想
 日本人として、日本語の面白さと難しさを実感しました。音にして、伝わる
 助詞がきちっと使えるようになれば、表現の足腰が強まり、伝わることば、
 わかりやすいことばになると思いました。

俳優発声実践(2/7)                      《ことば系》

2月7日(木)俳優発声実践

講座テーマ「日本語の特徴③ 主体と客体-助詞を学ぶ」

・読み言葉と話し言葉
 読語 講和⑤                ③
 話語 対話  1対1             ①特定
     会話  喋り 重なり ざわめき  ②不特定

  助詞を①の場合と②の場合で使い分けを考える

  「コーヒーは ブラックでお願いします」
  親近感の強弱での係り方。語尾の変化「です、だ、よ」

 ・客観性をもたせるときと、親和性をもたせるときの言い換えが起こる
  そらぞらしいが頭が動く/上が出るが意味不明になる

 ◎主語、代名詞を明確にすると助詞が大切になる
 ・同じ文章でも喋る対象で言い方が変わる
  それを変えるのは「は」 

  「このギョーザは中国で作られています」
  「私は毎朝8時に起きます」
  「私はオリンピックセンターにいる」独語・モノローグ

  リラックスできる喋りのモデル
       ↕
  (自己主張 他己否定)
  かっこいい生活語でこども劇団 情緒感 親のことばをかえる
  主語、代名詞 明確化

  不特定相手では伝わらない
  特定だと圧迫感があるのでときに解放しながら伝える。

 ◎助詞を知ると喋りがうまくなる。助詞の存在意味をつける意識が必要。
  その助詞を使う必然性を考える。

  係り方を考えてせりふを読む必要大。

  普遍性がありながら、広がりがあるか、芯があるか
  言い換えがきくか考える

  言葉を伝えるのが演劇
   重さ、強さ、巾、生身の人間で。言葉の表と裏。文学。人をだます。

 ◎文脈中心の作文では、各々の語の持つ重さ、巾、色、温感などが流れてし
  まう。

 ・文脈関係でなくても、構造から充分に表現できる。
 ・文の流し読み(流し喋り)は内容を平板化し、均一化してしまう。

 ◎どれだけ文を立体的に空間化できるか → 俳優

 (2)(イ) 米粒くらい小さい
      いくらでも買いますよ
      掃除くらいしなさい
      嘘さえついてくれない
      100円しかない

 (3)送ったのに届いてない
   寒いから着替えたの
   遅くまで起きていたから眠い
   雪がふったので長靴をはきました
   コピーをしたのに忘れた

 (4)今日は早くねなさいよ
   いつもよりおそいわね
   それはたべられないわ
   むこうにいきましょうよ
   のみにいこうよ
   →地方語に特徴 固有性

 ・助詞の意味合い、奥行きに気をつける
 ・おもいのメリハリ、流れすぎない
 ・平板なものを立体化する力を助詞はもっている
 ・終助詞で仲間意識、差別意識等を作り出している
 ・様々の助詞の機能を整理、理解し使いあげること
 ・助詞で表現力が高くなる。助詞を聞き分ける、喋り分ける。

◆本日の磯貝語録
 主語、代名詞を明確にすると助詞が大切になる。
 助詞を知ると喋りがうまくなる。そして早口でなくなる。

◆本日の感想
 日常生活で助詞を意識して使ってこなかったなあ、とつくづく思う。
 ことばの構造より思い中心の意味だけで喋っていた。伝わりにくいはずだ。

俳優発声実践(1/25)                      《ことば系》

1月25日(金)俳優発声実践

講座テーマ「日本語の特徴② 助詞のあつかい」

[1]日本語を正確にすることを考える
 ・ことばの規定がなく、生活は様々なので精神もバラバラ(身勝手)
 ・昔に比べると質がよくなっている(平準化されたのか?)
 ・テレビでことばをよく知っている。身の回りとどっちが優先か。方言。
 ・標準語と地域語の差を意識しているか。年長者と私の方言の違い。
 ・テレビ共通語、響きの情緒感が薄い、硬い。
 ・生活言語を考慮しながら芸事のことばを考える→観客にアピールする。
 ・テレビの大型化、劇場の小型化で劇表現が等身大化してきている。
  演劇に芯が通っていない。仮設をたてて筋を通す。
 ・現代語劇は外様化され、社会の変化とともに消えていくものが多い。
 ・学校、会社、グループ、地域等での固有語(極少方言)が増殖している。
  そのため、言語が衰弱している。固有語が流行語となり消耗している。
 ・助詞を使い分けるのは基本的教養。日本語の助詞は後置詞。
  同じ音でも違う使い方をする助詞「が」格、接続、連体、使い分け。
 ・同じ文でも語の使い分け(ベクトルを変える)と音声は変わる。
 ・今日この頃の市民言語は、いいかげんに使っていて雰囲気になっている。
 ・普段助詞の発声を意識しているか?
 ◎助詞によってセリフの感情が変わる(変えると同じ音でも意味が変わる)
 ・書き言葉では意識するが、話し言葉は助詞の使い方は無意識。
  意識すると不自然な会話になる。
 ・生活では助詞を省略する(漫画のセリフ)。感嘆詞は重要視!非言語化
  →生きていることば、死んでいることば
 ・音声を活かす言葉 音声で活かされる人生→活性化
  生き延びる、消耗しない、芸とことばを新たに創出していく。
  先を見る、見えないから追っかけてつくる、ないものをつくる
 ◎相手が信頼する言葉を私がつくる。外側からつくる。
  考える言葉を使って考える。思う言葉で考えない。

[2]日本語助詞の用法演習(配布資料)
 ・助詞を通してエネルギーを変えると意味が、意志が変わる。
 ・説明文では助詞を軽くする→意志がない
 ・立てる、つなげる→助詞がないと表せない?平板になってしまう。
 ◎意志を伝えるためにその言葉がある

 <演習>
  (1)の「が」が入る文を作り、意志が伝わる言い方をする。
  次回は(2)(ロ)の「は」、(2)(イ)1つ、(3)1つ、(4)1つ
  文章を作ってくる

  ・今は「の」「は」「が」がいいかげん、めちゃくちゃ

◆本日の磯貝語録
 相手が信頼する言葉を私が考える、向かっている先を作り出す。
 助詞で次につなげる、次をひっぱりだす。 

◆本日の感想
 助詞(日本語)が言葉を生かす。助詞をうまく使える人が少なくなってきて
 いるんですね。今の日本は・・・。うまく使うととてもきれいな言葉になるし、
 同じ文でも喋る人の感情が変わることが、とてもはっきりわかってきました。

俳優発声実践(1/10)                      《ことば系》

1月10日(木)俳優発声実践

講座テーマ「日本語の特徴① 喋りことばと文ことば」

[1]現代日本の文化状況を考える
 ・表向きはよくなっているが、実際は悪くなっている。
  (現代の世界情勢及び日本人の心性)
 ・社会がまずくなったときに頑張らなければいけないのが文化
 ・"日本もの"社会ものでない、演劇をよく知らない感じ。よく知らない人が
  書いたシナリオがよい。
  テレビから映画へ。いままで映画を撮らなかった人たちが始めた。
  フレームが作れない、長続きしない、産業にならないのが現状。
 ・演劇はつぶれない。インターナショナル(多言語性)、ローカル(単一言語)
  の2つの方向
 ・わかりやすさを追求しない(もちろんわかりにくさも)
   →新しい頭、先の感覚が必要
 ・文学と脚本、共通点は何か、違いは何か。
 ・大人になってから演劇を始める社会にする。ことばがわかる人、社会がわかる、
  "心"がわかる人、そして動くエネルギーの高い人が必要。

[2]日本語の特徴を考える(テキスト)
  標準語は翻訳可能=伝わることば⇔内向きのことば

  国際的に通用しなければ芸術は広がらない、強くならない。

 <特徴>
 ・膠着語。連なる 線形にくっつけてゆく。
 ・直列思考と並列思考を両用するとよい。
 ・自己所有言語、自分化、句読点のない羅列、自己中心型。
 ・つらなりを断つ、説明を短くする、クリアにする、文型にする。
 
 ◎テキスト内容の探求より文を構成する。
  日本語の本質を捉えることから始める必要がある。

 ・文字を音声化したときに語や文の全てのエネルギーを劣化させない。
 ・明示されない主語を明確にし、音声で浮き上がらせる。
  (客観的に浮き上がらせる。主観的でなくしつこく)
 ・「後置詞(助詞)は、言語的にはめずらしい」が日本人は慣れすぎ、
  あまり明確に表現せず、むしろ情緒的に処理する傾向にある。
 ・「ことばは私のためのもの」同じことばだから共感できる。
 ・言葉は常に変化する。特に社会的興味(マスコミ)力や社会的必然(戦争)
  等により大きく変化する。
 ・日常から切り離された海外のもののほうが作りやすい。  

◆本日の磯貝語録
  ・演劇以外の頭で演劇を考える
  ・日本語の本質をつかまえ直す(和語)
  ・膠着から脱却する 

◆本日の感想
 日常のことば、生活の喋りや人の言葉の聴き方などにつき、違った角度から
 接するきっかけができた。試してみたい。頭が変わるとことばは変わる。

俳優発声実践(11/30)                      《ことば系》

11月30日(金)俳優発声実践

講座テーマ「試演会」

[1]各自ストレッチ

[2]和芸の所作
 ①踏み足(立定の立ち型をとる)
  足を上げた時止めない。全部抜く。
  女性は特に鳩胸出っ尻にすること。
  足だけ上げようとしない。上半身を楽に、下半身全部使って。腰で。
 ②見る-人を見る、物を見る
  左右をみる-鼻頭を対象に向け、鼻先で見る。眼で対象を追わない。
  眼見をしない。そのとき、動く直前に何かを起こそうとしない。何もしない。
  素のままで動く(素芝居)
  息は吐きながら。動いていることはきれいにみせなきゃいけない。けど思い
  はいらない。
  
 ◎目で追わない。鼻で見る。鼻の先に意識を集中する。

 ③正座挨拶儀礼
  右手、左手の順に前に出し、指先を合わせる。肘からおれて、肘から上がる。
  
 ・間を大切にすること。間とは止まることではなく。自分の"ため"の時間。
  邪念を入れない。目を合わせるのではなく、眉間を合わせる。
  型だと思って望むこと。要所要所で決める、相手を溜め込むとよい。

 ※「にじり寄る」(仕種)
  膝を先に少し入れて、指先立て、少しだけ腰を浮かせて滑るように移動。
  布ずれの音は気にしない。

 ◎無意識の時に口が物を言ってはいけない。

[3]人情読み-歌舞伎本「三人吉三」から
 ①ふたり一組で読み。座ったままで。
  第1幕、予幕
   おとせ幕開けのセリフ-拍子を付ける。説明ゼリフにしない。波を作る。
   らせんを描くように前に出す。広げない。
  ・こういうものをやるときは、口から先にやるのではなく振りから先に出す。
  ・立ち芝居、歩きながらの会話なので、実際に歩いているように身をつかい、
   お尻を動かしながらの方がやりやすい。身体が動くから心も動く。
  ・読みの段階から振りを入れて芝居を自分を作っていく。
  ・口調と振りが決まるだけで芝居になっていく。

 ②実際立って動いて読み-花道から始めて本舞台へ移動する設定
  女形の発声
  下顎に落とさない。上顎にアーチを作る。上顎のアーチを上手につくるた
  めに重要なのが下唇の下から顎先までの中心の感覚。おとがいの支えで
  上顎のアーチを作り喉を降ろす。→「情」の深い発声になる。
  立って動いた時に背中等が余計に動いてしまうためは所作が崩れている。
  型で動くことを覚える。その蓄積が役者の幅を広げていく。

 ③一組ずつ試演
  (1)Aさん、Bさん組
   Aさんは役をするより自分をやってしまう。愛想を振りまきすぎる。
   型をやればそんなにやる必要ないはず。「情」の芝居は入りやすい
   ので特に注意。上手にやろうと気負うより、綺麗にやろうとすること。
   型とは、精神の置き所、所作、声の作り方。日常生活も含め、自分の
   所作に対して常に"美しさ"を追求すること。どんな汚れ役も美しく
   見せるのが役者。俳優は"美しい"ということをわかっていなければ
   いけない。芝居に対する美意識。それが役者を光らせる。
   Bさんは口跡が不明瞭。女形をやるときは尚更はっきり出さないと
   いけない。
  (2)Cさん、Dさん組
   私のつもりでやったら品が悪くなる。何もしない方が品が良く美しい。
   Dさんは「縁起がええわえ~」のところ、頭に抜ける音じゃないと
   気持ちよく聞こえない。胸に落ちた音は品が良くない。現代芝居の
   発声になってしまう。
   Cさんは途中から現代芝居になっちゃった。セリフの気持ちが出過ぎ
   てる。日本的な「情」には骨がある。リアルな気持ちでやると動き
   すぎてしまう。

   何か起きる時にかかとを浮かせてはいけない。踏み足を思い出すこと。
   気がせいてる状態では、浮いてしまって芝居にならない。

 試演を見ての感想
  Eさん
   自分達に足りないものは、まさにこれだと思った。自分もやっていたら
   こうなっていただろうと思う。ちゃんと型にはまって決まっていた時は、
   皆別人に見えたし、場も成立していた。
  廣木事務局長
   和室での稽古を初めて見たが、いつもと違って気が落ち着いていた。
   男性、女性がはっきり分かれているのがわかった。日本人が自分達を
   取り戻しているように感じられた。

  「何々用の役者」という考え方はすごく寂しい。
   
  ◎自分で作るな、書いてあるものを書いてある通りにやれ。
   自分の考えとか、自分の思いをやろうとするなんて50年早い。
   この芝居で自分はどう役者になるか、と考える。

  ◎美しさとは透明度

◆本日の磯貝語録
 ・無意識の時に口や目が物を言ってはいけない。
 ・「なろう」と思う気があるから、そのものになれない。それを捨てるからなれる。
 ・どんな汚れ役も美しく見せるのが役者。

◆本日の感想
 本日は礼に始まり例に終わる。お辞儀じゃない礼-存在を美しく認めあう日本
 の芸はすごい。台本から役者にさせてもらうこと。全て本の中にある。本当の美
 は簡素で洗練されている。これからが始まりです。(K.A)

俳優発声実践(11/22)                      《ことば系》

11月22日(木)俳優発声実践

講座テーマ「情の言語、意の言語、意と理」

[Ⅰ]和芸の立居振舞と身振り、座位と立居
 ・見る(上流人)-腰が入って 胸が上がって 鼻先を向ける。
 ・見る(老け)-腰を引いて 背を丸めて 額を向ける。
 ・見る(大老け)-腰を抜いて 背をまるめて 顎を向ける。
 ・正座挨拶-手、手指、肘、背筋、顔、頭、腰
  右手、左手合わせる→肘と胸から降りる→3秒→肘から上がる→背筋伸ばし
  →肘ぴんと
 ・手指し(扇)女性-手を返す 男性-指の根本で指す 手首だけこねない
 ・茶碗をとる
   手を見せる、きれいに。きれいなら想像できる。
   手仕種の芝居をしてみる→形を観せる

 ・飲む-唇をみせない。喉芝居。指で観せる。とにかく型。気分に浸らない。
 
 ◎仕種、身振りは自分に集中しない。必ず客に芝居でひらく。一点を見続け
   ない。
 
 ・得な場所を取る。畳筋の上は損。
 ・相対する 役の立場、関係を位置(距離、間合い)が決める。
  基本は客に尻を向けない。
 ・座って着物を着崩さない。
 ・身体芝居、顔芝居、女性は襟足も中心の点
 ・膳、座布団はまっすぐ出す→受ける方が向きを変える。
 ・怪しい関係以外は距離を取る。間は2~3尺はとる。

 ◎身体で読む。頭で読まない。
  生活の所作→手が動く。

 ・町人歩き-尾てい骨引く、膝抜く、膝下で歩く、小股、膝をくっつけるくらい
  ゆらさない、踏む、踊る、畳で膝から下で 音は立てない 
  徹底的に反リアリズム

[2]人情本読み
 「吉三」序幕
  ・本読みから芝居が始まる
  ・身体に入っている芝居が反応する
  ・日常は情動先行、芝居は身体先行、振りが先行する
  ・頭の中の概念でなく外につくって客に見せる。身体で間、緩急

  セリフ術
   ・「とせ」
     唄や調べがきこえてくるように流して繋げる
     はなやかに、楽しげに、ゆれ、なみ、山
   ・「お嬢」
     はて臆病な 客を誘い出す。交流する、乗せる。

  ・花道はお披露目。前後左右に観せ芝居→型を決める。時代劇でも。
  ・座から立位へ。型で立ち、型で観せる、とにかく重心を降ろす。
   降りるのをつかまえる。

  ◎聞かせて見せる。見せられると聞かせるのも楽。
   そして仏作って魂入れる。

   落語、歌舞伎をやっておくと、三島由紀夫はおもしろい。

◆本日の磯貝語録
 セリフ劇は身振り劇であり、心情劇ではない。
 身体に入っている芝居が反応する。日常は情動先行。芝居は身体先行

◆本日の感想
 昔の日本人の気持ちが少しわかりました。(M.K)
 結局現代劇って頭でやることが多くなって、台詞で観せることが少ないんだと
 思った。観せようとすると、声や言葉が死なないことがよ-くわかった。

俳優発声実践(11/8)                      《ことば系》

11月8日(木)俳優発声実践

講座テーマ「情の言語、意の言語、意と理①」

[Ⅰ]息の道、声の道をつくる(座位で)(磯貝塾長)
  ・膝の下に座る→丹田にのる、鼠径部を入れて呼吸(中心感覚と帯)。
 イ)鼻→首→背中(背骨の内側)を通り、腰から下腹に細いパイプで入れ、
   丹田のささえから胸を通り、口から細く吹く(地の声の道)。
   ・吹き矢を吹くように水平に直進する。
   ・吸気と呼気に間をあけず、入れ替わりでやる。

  ◎日本語の情や意を表現するため、日本の古典芸能(例:噺芸、歌舞伎)
   の技術と現代語を合わせる。

   ・口の前12cmで結実する音声から3尺(約1m)先でセリフを出す様式を
    身につける
   ・呼吸から声にするための息をつくる(密度の濃い息)

 ロ)口から細く、前胸に高く薄く入れ、即座に鼻を開け後首を通り、口上と
   わずか鼻から柔らかく息を外に流す(裏の声の道)

  ◎軟口蓋を自在に動かし、息を変える技が必要。

[Ⅱ]テキスト語り
  「崇徳院」p.84 下中「笑わなきゃと言うけどね・・・」
    女形→鼻、熊→口と使い分ける(細く前から3尺先から語る)
   p.85下
    「英語じゃアない。・・・」
    女形:鼻の先のくちばしから出す。小さい口紅のまま喋る。細く。

   ・入れるところと出すところを使い分ける(女形はコンパクトに)

  ◎「響きを作る」から「響きを消す(息で)」芸を身につける
   ・いい声は数カ所出せばよい。
   ・緩急のある声、息で消す、息を前まで通す、背中から抜く
    ボディビルダーは背中で呼吸する、見せる。初心者は腹式から
    縮めるために出す。素材を最高級にする。
    コンクールは「素材開発」声帯、筋肉、肉体から精神
    極めると品がある

  ・「瀬をはやみ・・・」を歩きながら詠む。
   イ)地息の詠み
   ロ)裏息の詠み

   足袋のよさ→足裏のおさまりがうまくいく。
   
   使うとき、消すとき、
   胸を使うとき、腹をつかうとき、

  ・一語一語を自分が実感できるように喋る
  ・響きを残すと自分の中に残ったように聞こえる
  ・なにをしてても品格があるように、日常生活から自由なところに芸は
   ない。芸の中の自由をつかむ。   
    
◆本日の磯貝語録
 ・地の声の息の道と、裏の声の息の道は異なる。
 ・息を変えれば声は変わる。息を変えれば意も変わる。

◆本日の感想
 息を変える(自分の中のいろいろなエネルギーを自由にコントロールする)
 これぞ芸の源泉であるという。よし、息を使いこなします(K.A)

俳優発声実践(10/19)                      《ことば系》

10月19日(金)俳優発声実践

講座テーマ「情の言語、意の言語  情と気持ち」

◎和室、和服による情動の演習
・正座 足をしめて(閉じて)背筋を伸ばし少し前かがみ。足にのらない(足が
 もつし、声も出る)
・芝居のときはゆるめに着る
・立ち方 出っ尻、鳩胸。女性はつま先をずらす、膝をおす。
・眼線 男性は眼位置横一線、手首柔らかく。頭をあまり動かさない。
    女性は眉間から人中縦一線。手首柔らかく。

足踏み 片足ずつ軸足を回転しながら 後ずさり
足袋の中で指を動かす。
歩く。 顔は正面で伏し目。 足内(そくうち)で歩く。
和の芸は自分の思うとおりにやる。いわれる通りではダメ。なぐられながら。

情の声。身振り、手振り、ことば。実践のための根。

ありさま、おもむき、理、恋、なさけ、まごころ、情念。

頭は現代でも心は江戸時代から変わらない。
社会は変わっても人間はあまり変わらない。

身体が反応する言葉を使う。身体に繋がる。

まず、「喜怒哀楽」を使う。まず実感し、使う。
「喜」で「そりゃあありがとうございます」

口の中で精密に作り、15cmくらい離す。外に出さない。

「怒」で「いったい何様だと思っているんだ(い)」
「哀」で「なんと不憫なこと」
「楽」で「そりゃあ結構結構」  漢字のエネルギー

相手と自分の間で 喜怒哀楽をみつける
         大まかに全体を捉える
         瞬間にやりすぎない

気・心 きごころ  なごむ、はじらう、みっともない、はにかむ
          しめやか、もだえる、したわしげ

相手に届ける「この栗ご飯はうまいね」(はじらう)うまい あつかましい状態で

心の状態を身体につくる 三島作品
そのままの心理をつたえる、つなげる。

「すくむ」「なつく」「なつきあう」 情念を言葉でつなぐ。

手と足 踊りと謡い 義太夫

◆本日の磯貝語録
 喜怒哀楽を実感し、使う。

◆本日の感想
 まさかVASCの講座で和服で稽古するとは思っていなくて、驚きましたが、
 着物で自分の状態が全然違うのが面白かった。これからが楽しみ!!
 おまけに着物は情を実感しやすいのが面白い。(M・O)

俳優発声実践(9/28)                           《ことば系》

9月28日(金)俳優発声実践

講座テーマ「情の言語、意の言語 叙情と激情②」(磯貝塾長)

[1]ノドをあける練習(声門の下まで使う)
 テキスト① Ha Ho Yo-
     ② Ho Ha Ya-
 顎関節をあけ、喉と舌を降ろし、咽頭を大きく開け、頭から胸まで筒にする。
 のどを鳴らす。あごとのどのポジションを決める。首の下、胴を鳴らす。
 基本は歌と一緒。息は口の前に出さない。言葉は下げた舌で発語する。

[2]情は身体の心:こころのからだ。 首から下  頭が入っては×
◇海外在住者で5年ぶり帰国者の東京の感想「日本人(大人も子供も)幼稚。顔も
 立ち居振る舞いも、態度も幼い。言葉が不明。子供が老人の顔。溌剌としていない。
 育っていない」

 全員でディスカッション
  ・自分を育てることを止めているのではないか
  ・日常、プライベートの“地”を育てていない。自立しても自律していない。
  ・自分のことに徹していて、他人の領域を自分の中にいつも用意していない。
  ・“地”の言語体系が幼稚である。自他の差がない。→頭脳構造
  ・自分の欲望を満たすために生きている。他の大きな律が弱い。
  ・日常生活の品が悪い。中間性、中立性がない。
  ・他人のためでなくても、まず自分のためだけに生きるのをやめる
   (一つの価値観に固まると止まってしまう)

 ◎欲望は情のひとつ(それだけだと劇にならない)

  ・いつも自分が主体。他を共有し難い。もしくは下手なのはなぜか。
  ・日本は今どこも向いていない。方向性を拒否している。
   (責任がないのに自由がある(と思っている))

 ◎自・他の境がない。公に私を持ち込む。
 ◎成熟とは、境界倫理をつくること。もてること。見せられること。
  芝居には共通の倫理観がある。倫理観は共通である。

  ・情が身体実感でなく頭の中の問題(思い)になっていないか
  ・頭・知・意のバーチャルな限定した情の世界を作っている。
  ・音声化=声帯化=実質化=身体化=情態化
  ・身体言語-体内感覚を外におくこと→客体化
  ・身体の精神を相手に伝えること。

[3]☆音声客体化訓練用テキスト
  ミィーヤ  ・サンスクリット語 経の言葉と同じ(ナーム):音に意味がある、音が身体を
         震わせる
  ミューヤ  ・ヤ行は身体の底の音。そして天に響く音 
  ミョーヤ  ・きちんと支えて腹から身体を響かせる
         ・煙突より狭く細く作る→下に降ろしやすい

 (1)座位でテキスト練習
  ・身体化された音声が情動の音声(響き)
  ・口の音声は頭で考えた情で、いやらしく、品がない。
   いわゆる感情的音声で、響きが少なく、伝わりにくい声

  ◎<情動音声をつくる> 俳優の音声は情動言語

   身体性があると親切で無駄がない → ケチじゃない

 (2)股割り姿勢でテキスト練習
  ・顔、上肢が下向きのため、よだれが出始める→良
  ・強い声でなくて良い。後頚部、背面に響かせる。
  ・口から身体に降ろす。情報より状態を身体でできることをあらわす。

◆本日の磯貝語録
 真の情動音声をつくる:自分を育てる。
 他のもののためとまではいかなくとも、自分のためだけに生きることをやめる

◆本日の感想
 日本人は、他人のための事をしなくなった。そのくせ自分を育てる事も止めて
 しまった。それに巻き込まれない術を確実にもてない自分を知る。自分の今を
 おかしいと感じたり、異和感をいつも持つことが止まったら芸術は無理だ、と
 思った。本当はこういうことをちゃんとしないと芝居は出来ないんだ(H・K)