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声・ことば表現テーマ別(3/8)                  《ことば系》

3月8日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「狂言③」

1.狂言の言葉について
 ◎狂言をするときに大事なこと「子音」。
 ・大蔵流では、ラ行、ダ行をよくしなければダメという。
 ・「ダ・デ・ド」の音が、関東人は、汚いと言われてしまう。
 ・誰が聞いても、その音だと安心できるものをつくる。
 ・構えを作ってから、発する。日常の発声とは違う。

演習①
 ◎「ダ・デ・ド」をやってみる。
 ・タテ口で、破裂音にする。真ん中が必要。
 ・一語一語を、しっかりと、しつこくつくる。聴くに値する声をつくる。
 ・母音は響かせる。
 ・狂言は、音が重要。意味を流すことではない。

演習②
 ◎ラ行「リ・レ・ラ・ロ・ル」 上顎・歯茎・弾き音。
 ・明るく。タンギングと、息の流れがラ行は大切。
 ・「ウ・ク・ス・ツ・ヌ」→それぞれ、ノドの使い方が違う。自分で変化をつける。

演習③
 ナ行「ニ・ネ・ナ・ノ・ヌ」
 ・鼻まで使う
 ・上顎に対するタンギングをしっかりする。奥から前ではなく、前から奥にする。

 ・喉頭は下ろす。
 ・舌はそれに従って、伸びる。
 ・舌は細くして、先端だけを使う。

2.「千鳥」演習
 ・2人組みになって、練習。
 ・台本のカタカナのところ、「エエ」や、「イヤ」などは、それらしく読むこと。
 ・しっかりと語り合っていると、自然と面白味が沸いてくる。
 ・お互い台本を読んでいてはダメ。
 ・声の力が物事を演じてくれる。
 ・小謡の謡い出し音調は、あまり高く上げない。

 ◎全組試演+合評会

◆本日の磯貝語録
 狂言の声は言葉であり意味で体であり意志である。セリフをつなげて物事を説
 明するための材料ではない。

◆本日の感想
 狂言の声を覚えた事で、この世界を少し知る事ができました。何とも奥の深いも
 ので今の軽い演劇ではおよそ観えないものを知りました。古典芸能の実際に興
 味を持つことが出来ました。

声・ことば表現テーマ別(2/8)                  《ことば系》

2月8日(日)声・ことば表現テーマ別
 
講座テーマ「狂言」

[1]準備と発声(塾長)
①(1)足をそろえて、腰を入れて踏む。音は立てない。上半身は動かない。
  (力を入れて止めない。)
 1)片足だけ踏む。
 2)両足で踏む。
 3)真っ直ぐ歩く。
 注意点;お尻を上げ下げしない。身体の芯をとる。踵から歩く。重心は低く。
 足裏進行(ソクリシンコウ)→足裏で進む。
 (2)足は軽く開いて、バウンスする。芯をとることを意識する。
②「やっこさん」;膝を割って進む。音はあまり立てない。
 注意点;足首を練らない。足の裏と、腿を使う。
 ・わずかづつ、何かをやっていること。
③発声
 ・うがいをした位置(図参照)を響かせる。
 ・やっこさんをやりながら、発声。
[2]「千鳥」演習
①小謡(狂言のなかの短い謡)
 ・ソラレソラドレ(日本の音階)のうち、2音、3音を使う。
 1)「浜千鳥の友呼ぶ声は~」ピアノにて音をとる。
 2)[1]の発声で謡ってみる。
 3)足を踏みながら、謡う。<ポジションをつくる>
②読んでみる。読んでみて塾長から。
 ・声をつくると人物がつくれる。
 ◎作品が要求する声をつくると、そのキャラクターになる。
 すると、誰でも似てくるので、くずしたり、新しくやったりしてきたが、
 狂言は化石のように変わらずやってきた。しかし、謡を少し変えるだけで、
 とても変化する。
 ・能楽が古いものをやっているので、他のものが新しいものができる。
 ・演劇は、続けていくことをやめてしまって、台がないので、形ばかり新しくなり、
  Show化し、軸をつくっていない。消費材になろうとしている。
 ・続けていく何かをつくりだしていくこと。時間軸で繋げられるもの。
 ・身に付いたものでやっていくこと。時間軸で繋げられるもの。
 ・演習の前に、声をつくっていたので、余計なことを考える必要がなく
  楽だったし楽しかった。

 身についたものでやっていく。そのための身(実)をつくっていく。


◆本日の磯貝語録
 身体の芯をとる。
 表現構音点をとらえ、語り喋れるようになろう。

◆本日の感想
 狂言は、とても面白いものであると実感しました。日本の古典芸能、しかも600
 年前のそのままの型が今できるのはすごい国だと思うし、興味が沸いてきまし
 た。

声・ことば表現テーマ別(1/11)                  《ことば系》

1月11日声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「狂言①」

[1]「狂言」について発表 西本さん・・・資料参照

[2]狂言演習「千鳥」
◎狂言とは (塾長/三宅籐九郎さんの本を参照しながら。)
・狂言の書かれた言葉は、当時の人が実際に喋っていた言葉。ここが重要。
 およそ600年前の生活の言葉による滑稽劇。
・今の若い狂言師が演じる今を取り入れた、しかしテキストは変えない狂言。
 テキストを変えないというのは古典の基本。
・能楽やる、それは、その声を学ぶこと。600年前にあった声を、今の私がやる。
 時間を超えた感覚がある。(塾長の体験)
・外の社会は変わる。声は変わらない。声は劇、この劇の指すところは、
 「その声を持っているか」。それが劇である。声こそ、キャラクター。
・狂言は、声の出し方が大事。

[3]「腰を入れる」をやってみる→足踏みへ。
・笛を喋れるように、下ろすためには
 丹田を張るときに、脇も張る。横隔膜を下ろして、その状態で喋る。
 アゴ、舌を使って下ろしているわけではない。
 横隔膜を張って喋ると「とぶ」声が作れる。
<練習>
(1)
①鼠径部で支える。(できたら会陰で支える)。とくに奥のほうで支える。
②緊張でノドがあがるので、声は高くなる。声が変わるのを掴む。
 ポイント 胴は、動かない。

(2)
①坐骨で座る。(鼠径部を張る・丹田を張る)
②バストトップで、体の真ん中あたりを意識して、横隔膜を下ろす。
◎横隔膜を下に張ることで、ノドを下ろす。それを保持することで、その声で喋
 れる。

[4]演習「千鳥ベタ読み」
・上腹部の支えを作り読む・・・「逆さだるま」をつくる(図参照)
(1)「だるま」
 ①坐骨か会陰を意識して座る。②丹田を張る。③横隔膜を張る。
 →鼻があく、ノドが下りる。
(2)「逆さだるま」
 ①下腹部分を扇を閉じるように締めていく。②上腹を張る。

・表現を前に出す。
  →発表。

◆本日の磯貝語録
 600年前にあった声を、今の私がやる。時間を超えた感覚がそこにある。
 それが、古典の力、古典の味

◆本日の感想
 狂言をはじめて読む。文学としても面白いが、声に出すと、昔をやっている様
 で不思議な感覚。現在に通じるのだからすごいと思った。
 今の私たちは、とてもエネルギーが低いのも分かった。

声・ことば表現テーマ別(12/14)                  《ことば系》

12月14日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「『平家物語』②」

[Ⅰ]平家物語の読み方(塾長)
①仏教観―芸能に於ける宗教性について
 ・一つの宗教にとらわれるのが嫌だという傾向が強いか?
 日本人は、生活原理として、仏教感や、宗教的習俗を生活している。(破魔
 矢を買うなど。)
 ・考え方なども仏教的である、しかし宗教という意識は希薄。

(・宗教観が薄れているので、古典文学を通し日本人の宗教感性を学ぶ。)
(・自分の中にある宗教観を取り出して、リニューアルする。)

②無常観・・・あはれ、空しさ、悲しさについて
 ・概念ではない、無常観(意識や、生理)をつかみ、表現しようとする。
 ・宗教は、当事者の問題であって、第三者との問題ではないが、布教したくなる
  ものであるらしい。共有感の強迫観念か?
 ・祇王の悩みを本人の悩みとして読めれば、宗教観を出せる。
 ・宗教は、本人の問題だということをごちゃませにしないでおく。

◇「祇王」の母・とじは、弱い身であり、身勝手で残酷である。
 しかし、悪があるから善がある→宗教ではそれを明確にする。
 ・悪に対して、悪だ、悪いなどというのは、社会的発言で、客観的ではない。
 ・芸術(文学も)は、善悪を平等にとらえ主観的ではない。ただし、表現の現場
  はそれらをクローズアップし、暴いたりもする。
 ・祇王は美であると同時に悲である。仏。

③祈り
 ・宗教性は存在であって、説明ではない。
 存在の具体的行為が「祈り」である。
 ・琵琶で語るのは祈りの形。祈りと、音楽のつながりは深い。

<ディスカッション>
 ・芸能の中に宗教観があったほうが、滅ばないですむ。その宗教観は、巷にある
  ものではなく、新しい宗教観として発現するとよい。(塾長)
 ・今生きているところ、そうでないところ、それがつなげている宗教。地域の宗教
  的な行事があり、宗教を身近に感じている。(塾生)

Q.自分のなかにある宗教性とは、どんなものがありますか?宗教体験など。
A.詩などを読むと書いた人の宗教観を感じる。(宮澤賢治など)
 場所に神がいる。(台所、家の様々なところ)
 神を感じる場所がある。(教会、弓道場など)etc...
 宗教的な希求心を持って読むのと、言葉として読むのは、全くことばの流れや、
 収まりが違う。(塾長)
 宗教を持たないといいながら、個人的には宗教観を持っている。

Q.芸能と宗教観(性)は大きく関わっていたが、現在はむしろ希薄となっているが…
A.関係は大きい。常に、宗教性に立ち帰ってしまう。
 (塾長の体験から)
 ◎信心の心性は、国や宗教により正反対のものも多い。日本人の信心は利己
  的で、基本は自己に向かっている。一方、インディアンのある族は、祈りは神の
  考えを聞くことか、願い事は自分のことではなく、他人のことを願って祈る。
 ◎日本も、海外も宗教性の多い作品は多いが、今の日本人には捉えにくい
  し、表現出来ない。
 ◎芸となって、作品のこと、登場人物のことを演じるときに、どれだけ自分を捨て
  られるか。(日本人は、物事の自己化が強いので)
  →宗教性を持つことで、自分と役の間にスキ間を作れるか。
 ◎どこまでが自分で、自分でない役と行き来するときに、宗教的感性で別の次
  元を意識できる。
 ◎ただ入魂するだけでは、あくまで自分。祇王を分析して、演じたとしても、それ
  は自分であって、祇王の、脱自の祈りを演らなければ、説得ある表現になら
  ない。

[Ⅱ]演習「祇王」
①調子をつけて読んでみる。
 ・前へ進むような調子で。
 ・ことばを横に広げず、前へ進ませるか、下げる。
 ・今様を謡う。謡いに近づける。(P40、P50)
  基本の節はあるが、好きに謡っていたらしい。雅楽の節に近く謡っていたので、
  だいたいこんな感じで謡っていたというのが今様は分かるが、「平家物語」に
  限っては、残っていない。
 ・「平家物語」は、琵琶で語る。鼓なども入ったりするので、音楽、リズムとも関
  わりは深い。

◆本日の磯貝語録
 本来の宗教性を持っていれば、自分を捨てて演じることができる。

◆本日の感想
 日本の文学、技芸の基にある仏教感(観)。作品を演ずる、表現する為に
 仏教感
 ・宗教性が不可欠。そこを意識して演ずることで、作品を深めることができる。こ
 れを目ざし自分を消し、表現できるのはいつか。手話も言語。いつも共通部分
 を発見しています。

声・ことば表現テーマ別(11/9)                  《ことば系》

11月9日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「『平家物語』(1) 祇園」

[Ⅰ]研究発表 
(1)「平家物語」の概要:塾生 林恒宏さん
 ・資料による概要説明
(2)なぜ「平家物語」か。(塾長)
 ・現在の芸能のすべての基本は中世にある。
 ①現在から考え始める ②歴史から考えていくのとでは考え方は、逆で。
 演劇→共時性と、普遍性とを含むもの。
    ↘今のことを書いてきた。だから、当時のことは昔になっている。
 平清盛を今化(現代化)することも可能。
  歴史は変えることができない。これは絶対である。
  歴史はすでに終わった。どう解釈していくかが問題。
   ↳この立場を明確にして演劇をやらないとダメ。

(3)歴史と演劇について
 ・演劇は、いまのことをやるという1つの使命がある。各々の時代の今を書いてい
  る。
  芝居をやっていた時代が今であり、今の現在とは、当然時差がある。
  それを埋めたり、跳躍することで、過去を普遍化することができる。
 ・ロシアの自然主義と、リアリズムは、演劇に強い影響を与えた。
  戦後の日本にとっては、大ショック(型に入ってそこをやるやり方だったから。)
  この影響をうけて、歴史ではなく今をやる 今の日本の演劇の形になった。
 ・新劇は、リアリズムに走った。
 ・演劇がなくしてしまったもの
  全くないものを創り出す力、本来の創造力。何かをあばく力、本質を探り出
  す力

(4)「平家」を演じる意味づけと、方法論
 ・時代を飛ぶ、状況を変える。→リアリズムでは無理。言葉で跳躍する。今と
  つなげる。
 ・「平家」の時代
  同じ人間だが、環境による生態・生活方法は、その時代のものである。
 ・意味よりも感覚で捉える。読み手は感覚で捉える。
 ・「平家物語」が今になるためには・・・・。
  「源氏物語」では、遠すぎて難しい。今の私たちは、自由に飼いならされている
  から。

<芸人とは>
 ・基本はとってもイイ人。でも、すこぶるひねくれている。
  表を精密にやるために、裏をよく知っている。
 ・感覚を育てる。
 ・意味を具体化しない。特に説明してはダメ。
 ・感覚は、瞬間的。視覚的感覚はアニメに負けたと自覚する。代わりに聴覚、
  触覚を使う。
 ・本来の演劇に戻す。
 ・生身の人間が、生身の人間に訴える演劇は強い。
    →そのために、共時的であることが大事。
    ただし、視覚に頼らない。五感の演劇をつかみ取ること
          ◎頼りになるのは聴覚、触覚である。

 ◎知覚でやっかいなのは、抽象。それを具体化するのが言語。
 ◎演劇の言語は具象、具体の道具である。そのためには、言葉は、五感語で
  あることが条件。
  抽象と具体化の橋渡しは俳優の仕事!

 ・言葉を使って表現をするときに、言葉のリアルより抽象を感じると、自分に吸引
  してしまい、他人は置いてけぼりを食ってよく分からない。
 ・言葉を自己化しない。
 ・宙ぶらりんで出しておく。
 ・感覚がわかって、自分の周りにぶらぶらしているのなら、芸術家である。
 ◎共有のための共感。これがなくて意味だけ分かりあるのは、つまらない。

[Ⅱ]テキスト演習「平家物語」
 祇園精舎の・・・各自練習。
 ・~の~の~の 「の」を感覚的に発する力が必要。
 ・口読み、文の流し読みは慎む。
 ・語音は身体音として語る。
 ・リズムをつける。
 ・早くないスピード感が重要。

[Ⅲ]「祇王」演習
 ・言葉より感覚で、ぱっと、あるがままに捉える。
 ・喋る以前に心はある。入ってしまうと意識になる。
  →その瞬間のものを捉える訓練をする
 ・文学解釈でとらえるとつまらない。演ずることはできない。
 ◎何かを感じるときに、認識よりも心を感じること。思いまでいってしまうとことばに
  したくなくなる。
 ◎(言葉になる、もしくは文章になる)その前の心に真実はある。理屈に入る前
  の気づく気づかないかの瞬間に気づけるか。
 ◎心で見ることができるか。心が動く前にあるもので「祇王」を読むと面白い。

 ・今日は、どういう物語か、共有することがテーマ。

(1)「祇王」を楽にまわし読み
 ・語にのって何回も喋っているうちに、意味が出てくる、付いてくる。
 ・リズムをつける。すると動く。
 ・うまくリズムをつけるとノリやすくなる。つけすぎるてはまた違ってしまうが・・・。
 ・自分の納得は、半分でも前に出す。
 ・祇王の母・・・P48のセリフでは、嫌な母だが嫌な母親でやってしまっても、生
  ではない。嫌な母で全編を読んでしまうと違う。

(2)読み終えて
 ・日本人じゃなくてはできないというものではなく、音で捉える。
 ・現代の世相にのったものではなく、先人が心打たれたものは現代人も心を打
  つ。そこをみつけていくのが芸術家ではないか。
 ・腹応えのある作品をつくる。後戻りではなく先へ行くこと。視覚に走るのでは、
  すでに遅い。やっていないことを見つける。俳優に力がなければできない。

(3)読み終えて、どんな精神状態ですか?(塾生の感想)
 ・言葉のリズムに乗る。語り物の特徴では?
 ・リズム、単語などに、日本人の情感を感じた。
 ・分からないけど、「あぁ~」となる。→共有できた
 ・オペラのようだ。ストーリーは単純だが、ことばの音が、音楽になる。
 ・音声が飛んでくる。文字が飛んでくるのとは違う。音声がとんでくるのはとても
  快いこと。語りを文字にした、そのために立体感がでた。
 ・外国で芝居を観ているのと一緒。初めは分からないけど、知らないうちに入っ
  ていく。最後は笑って終わる・・・みたいな。
 ・文楽で字幕をみると、セリフを追ってしまうが、見ないほうが入ってくるの逆か。

 ・シェークスピアについて・・・
 イギリスでは、知り尽くしている人がやる。なんとなく知っているではやっていな
 い。知り尽くしてやるのがプロ。などなど

 ◎やり終えたときに、ふっと沸き起こったものを捉えておくこと。
 ◎読んで、もっとおもしろさを捉える。
  心の感覚を研ぎ澄ませて読む、気持ち、おもいという方向へいかないこと。

 心の感性で、文章とつきあう

◆本日の磯貝語録
 ①"本来の生身の人間が生身の人間に訴える強い演劇"で頼りになるのは、視
  覚ではなく、聴覚と、触覚である。
 ②"それなり"ではない、そのものを知り尽くして十全にやり上げるのをプロフェッ
  ショナルという。(今は少ない)

声・ことば表現テーマ別(10/19)                  《ことば系》

10月19日声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「『虚と実』・演習『オイディプース王』」

[1]広島公演を終えて。出演者の方から発表とそれを受けて塾長の話。
 塾長より
 ・声ができれば、演出家の様々な要求に対応できる。
 ・技術と、価値観を共有するネットワークを持って、高いものをつくる。
   ↳これを持って全国でできる。
  →VASCは、これをつくりあげる。長いスパンで。
 ・外から思い切り吸収すること。
 ・内側では、よいライバル意識を持った関係をつくる。
 ・演出家と、役者は、ライバル。
 ◎なにがなんでも、技術はしっかりしていなければダメ!

[2]コクトー 「オイディプース王」概論
 絶対表現 神様はひとつ
 相対表現 どんどんと分離していく
  どっちかができたらすごいけれど、天才はどちらもできる(ex ピカソ)
    ↓
  劇場には、いろいろな価値観を持った人がくる。
  その人々を満足させるためには、緊張感を保つ!
  ⇒緊張を保つには、練習しすぎてはダメ。慣れてはダメ。

 ・コクトーの作品は材料。
 「オイディプース王」→うまいからそのままをしてしまいたくなる。
               しかし、それではおもしろくない。

 ◎テーマ「虚と実」

 <実>
 まず、本を表読み。出てきたところだけをやってみる。
 →しかし、それだけやってもわからない。表側だけだから。
                          ↓
                      人生をつくりあげる。→芝居を読み解く。

 <実のウラ>
 「これはなぜだろう。」と探していく。しかしwhyだけでは、芝居はできない。
 「なぜ」「どうして」→「答」←それは何

 なぜ起こっているこのことが、何であるか。何なのか。
 →これを見つけなければ、演じることは出来ない。
 →コクトーは、特にココをやらなければ、芝居にならない。
 ・考えなければ、物事を知らなければ、この芝居はできない。
 ・一言、一言、考えなければダメ。

 ・誠か、嘘か
 虚:嘘でないものが正しいか
 実:正しいものがすべて誠か
 ⇒そんなことはない。
 ・「正しいこと」と、「誤り」→この間には、無限に近い中性がある。その間にまた
 虚実がある。入れ子のような関係。
 ◎虚と実を隔てる薄い皮膜がある。その間を行き来し、双方をあばいていこうと
 する。コクトーの文学の特徴である。

[3] 演習
 プロローグ;初めて読むときも、外へ向けて。セリフにして、語る!実の朗読は
 不用。特に、外国のものをやるときには、動く、手をつけるなど。→それをおさ
 えるのが演技。

 ・各自、読んでみる。(語る、動くをふまえて。)
 ・2回目は、別人格でやってみる。
 ◎観客とサシで話をする。観客に賛同を求める。説明ではなく訴えかける。
  ⇒台本読みをする時の必要条件。

 <塾生発表>
 ①Aさん
 オーディエンスの感想;オープニングらしい世界観が入ってこない。
 塾長;・演っている人の魅力が足りない。もしくは役の魅力をつくる。
 ・演じはじめ→観客を見ること、眼で訴えること。まず、眼をあける。
 ・ところどころ関心を削ぐ。間の取り方が悪い。客を引き込まなくてはダメ。

 ②Bさん
 オーディエンスの感想;その音で語るなら、もっと動いてほしい。勢いがほしい。
 本人;このキャラクターでは、持たないと思った。
 塾長;・一瞬、文を読むときにBさん自身になっている。
 ・即座に把握して、ぱっ!とやる即応力がほしい。
 ・本人の理解のみになっている。客をねじ伏せようとしていない。

 ③Cさん
 塾長;一人の喜劇役者が生まれた!後半が秀逸!Good!

 ④Dさん
 オーディエンスの感想;
 ・一本これをやりとおすのは、なかなか、つらい。
 ・動きに変化はあったのでカバーされていたが
 ・空間の使い方が面白い。後半引き込まれた。
 ・後ろを向いたとき、空間がなくなる。
 塾長;・後半、四苦八苦で、ごまかしていた。
 ・持ち味をだしてやる。
 ◎セリフは、読まない。初見でも、喋れ!

 ⑤Eさん
 塾長;どんなキャラクター?→神様の子供、悲劇を楽しんでいる
 →抽象的すぎる。リアリティーを!
 ◎ リアリティを持った、キャラを作る。
 (例)魔女 
 指示を出されたときに分からなければ、相手に質問して、取りひきをして出し
 てもらうこと。しかし、自分に有利なように持って行く。

 ・具体的(外側)からつくっていく。内側からつくるのは、研究者達、演じ手では
  ない。
 ・あなたが分かることをしないと分からなくなる。
 ・価値観を1つでやってしまった。魔女は裏だ。裏が表をやるということを考え
  てみる。
 ・もっと意地悪に。出ていることを、出ているようにやっていてはダメ。
 裏をやる。ウソとマコト両方をやる。

 ⑥Fさん 塾長から→ウラとオモテをつけて演じてほしい。
 オーディエンス;
 ・今までより明るい。オモテウラは、感じられない。
 ・声のパターンを上下するか、声で聴かせる。
 ・声のいろいろな手法がほしい。
 塾長;・ユーモアがなかった。一本道へ入ってしまった。
 本人;・なんとかしようとしたが、できなかった。客観的でなかった。
 <客観的?>
 ・テキストに集中して他へ逃げられなかった。

 ⑦Gさん
 オーディエンス;
 ・そうではないものをやってほしい。
 ・自己完結をしている。放送劇っぽい。芝居をしてほしい。
 ・読んでいる。語尾が同じで、芝居が消える。
 ◎伝えてほしい。
 ◎芝居をするには・・・何をどうしたらいいのか、自分で考え出す。
 その役になる覚悟を全身でやる。自分をやめる。

 ⑧Hさん
 オーディエンス;自分がいやらしく思えてくる。
 塾長;台本を読むというところから、早く抜けよう。
 →芸に対する甘え。自分に引きつけたら芸ではなくなる。
 ・時計がひとつしかない。(早く、遅く、動く時計を持て。)

 ⑨Iさん
 オーディエンス;
 ・やろうとしていることは、わかる。
 ・身体のなかがついていってない。見えてこない。
 塾長;書いてあることを自分に説明している。見えていなければ、手を使って
 説明する。本人は、見えていても、客には見えていない。バカみたいに、ジェ
 ステャーをつけてみる。1ツ1ツ、すべて。

 ⑩Jさん
 オーディエンス;稽古を覗いているような。書いてあることは、わかる。
 塾長;物言いにクセ。子音がまずい。
 ・観客がいない。
 <なぜか?>
 オーディエンス;台本とのやり取りになっている。

 ⑪Kさん
 オーディエンス;
 ・前よりもずっと伝わってきた。
 ・声のゆれがもったいない。
 ・客を見て届けてほしい。見られているという意識を持って。
 ・なぜを掘り下げていく。
 塾長;・顔の表情がない。
 ・しっかりとキャラをつくる。役を決める。やり通す。

 <まとめ>
 人のをきいて観ているときに、演じ手として観る!ただし自分の好み、価値観
 でみない。
 受けていることを客観的にみる。主観的な意見は必要ない。評論や、批評家
 になるのではないから。
 実のある見かたを覚える。
 ◎演じ手は・・・・・決める。自分のやることを決める。→そこを育てる。

◆本日の磯貝語録
 虚と実の間には無限に近い中性質があり、その中にまた虚実が存在し入れ子
 のようになっている。

◆本日の感想
 演者のセリフを聴き、「そのままを受け止め、客観的に批評する。」その的確さ
 がすごい。こういう耳と価値観を持ちたいと思う。自分の好みや思いの様な主
 観的感想は、いくらやり合ってもそれだけでむなしい。

声・ことば表現テーマ別(9/14)                  《ことば系》

9月14日声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「ジャン・コクトー」

[1]ジャン・コクトーについて
①発表(プリント参照)
②塾長より
 ・ コクトーを選んだわけ
 (1) 今は、全てのものが分かりやすいものしか選ばれない。軽くて、薄いもの。
 でも飽きる。感性は飽きたあと、すぐころころ変えられない。
 私が生きること、私が私を貫くと。
 今のものは、私のことは考えられるが、人類については考えにくい。
 (2) コクトーは、人類について、芸術についてやるために生まれたと思っていた。
 Artは、偏見から起こる。→ 今は偏見を嫌う。偏見から出てきたものがおもし
 ろい。
 フランスというお国柄→自然主義的な社会
                ↓  社会的な自然主義×
               この極端なものがコクトーである。
 (主観言語のおもしろさの極みはラクゴ。フランス語に比べ日本語は主観的)

③詩を読んでみる「踊り子」「耳」など、回し読み。
 (コクトーは、物知りで、百科事典と聖書が大好き!「聖書は嘘だ。」っていい
  たくて読んだ。)
 ・分けが分からないまま、とにかく読んでいく。
 ・堀口の日本語は分かりやすい。詩人として詩を訳すと言っていたらしい。
 ↳韻を踏んでいるから堀口訳ならコクトーもラップになる。
  意味・ストーリーで理解することに慣れ親しんでいる時は音律に従うとなんと
  なく接することができる。
 ・理解しようとしない。
 ・「30になった詩人」
 読むためにどうするか?詩を聞く態度というものがある。
 Aさんが、アレンジして発表。
 オーディエンス感想:成功と影にある不安が伝わった。
 コクトーの奇想天外な感じ、分けの分からない感じがほしい。
 すがすがしい感じであったが、欲望などが出たほうがコクトーらしい?

 ・書かれていることば、読んでいる声の、表側以外のもの。
 文脈の解釈 同じことばを使っていても、伝えているところは全然違うものを含
 んでいる。
 →今は、それを「いじわるだ。」「もっとストレートに。」と言われるかもしれない
  が、そこに書かれている以外のものを探す。それを声にする。

 ・「サフォの墓」
  分けが分からないで読む。
  分からないから読めないというのは、おもしろくない。書いてあることが事実だ
  と思ってやる。
  分かってやると、かえっておもしろくなくなるのではないか
  海外の芝居をみる 音で楽しむ。→物事の楽しみ方のひとつなのだ。そこを
  学んで、楽しむ。
  サフォ→若い女性
  コクトー→奇想天外な人 これを使うかは、表現者しだい。
  ・表現者は、やりやすいようにやってしまうが、これを楽しむ!

[2]コクトーの詩をよむ<演習>(塾長)
 コクトーを知らないから楽しむことができる

①「ソクラテスの墓」
 ・よいタイミングでテンポをつくるのが原則。間が問題。
 ・分からないなら、分からないで読んで詩はOK。
 分かったふりをして読むのは、聞いているほうも分からない。
 その代わり、思い切りよく、自分の思いを入れずに聞き手に投げてしまえ!

②「村へ来た天使ガブリエル」
 ・ 詩は感性に訴えるもの。
 ・これは何年のどこでつくった酒だと分かって飲むとうまい。しかし、何も分から
  ずに酒だと飲んでもうまい。それがコクトー。
 ・感性、知性 両方で尊重する。どちらかだけでは、つまらない。

③「ギリシア劇」
 ・テキストに対する接し方を日本的にやりすぎてきた。
 ・字、そのものは、意味だけではなく感性が書かれている。
 ・古典は、感性を感じる。(分からなくてもなんとなくイイ!と思える。)
  ただ、学校文学は、感性で読むことをしない。理解させること。
 ・感性豊かな知性が良い。
 ◎知的な感性を育てる。
 ①古代の感性を捉えようとする。
 ②そして自分の感性を育てようとする
 →文字化されたものに、感性が感じられなければ、おもしろくない。

④「探偵」
 ・感性のために、知性は犠牲となる。ただ、お互いがなければ、育ってはいか
  ないところが、
 難しい。
 ・聞いているときに、感性的に受け取ることができるか
 ◎感性の優れた役者になれ!

⑤「赤面」
 ・自分の理解を伝えるのではなく、テキストを伝える。
  感覚・感性でやるために詩をどう読み、どう受けるか
  分からないで読んでも、人は聞いてくれる。
 ・読んだあとに何だか分からないというものを残しては、まずい。
  これだというものを示さないと、ただストーリーだけを見せるだけになる。
 ・この詩が、私を引っ張っている。それを掴まなければ、詩は語れない。
  (あるいはテキストすべて。)
   ↓
 ・解釈は、後からついてくる。はじめに音あり、響きあり。
 ・読み込むうちに湧いてくる。先に解釈をして読まない。
 自分の欲望が消えるまで、読み込む。

⑥「逝ったみたいな」
 ・書いてあることを音にする。
 ・何かしようとすると、「何かしようとする自分」をやってしまう。
 ・知性で語の感性を追いかけない。

 ◎「祈る」 自分を引っ張るもの。引っ張られているか、いないかは、客は分か
  る。探しているか。つくっているか。

 ◎芸→奉納する。神がかる。これは日常とは違うこと。
   表現→神がかる。それがなければ美しくない。そのためには、滅私奉公す
  ること。
  古いことを知らずに、新しいことをするのは、思いつき。

 知性と感性と理性 →頭で理解
 →感性と知性の関係で、知性が足りないと理性がでてくる。これはまずい。
 →知性と理性が発達し力を持つと、表現者は何かに向かう⇒「神」
    ↓
 ≪神が来ていなくはダメだ!≫

 ・読んですく分かる文章がよい文章。書かれた文字そのものに力があって、私
  を引っ張っていってくれる。それに従って声をのせる。
 ・知的な理解より、感性で表現する。理性が邪魔しないように神性に頼る。
  (祈る?)

◆本日の磯貝語録
 絵や、音楽の他に、詩も感性を育てる。語の感性を捉え、自分の感性を育てる。

◆本日の感想
 詩の意味を頭で解釈(理解)しようとして、とっつきにくい印象があったが、文字
 の音、響き、リズムなどから詩に入ると、こんなに楽しめるんだと知りました。

声・ことば表現テーマ別(7/13)                  《ことば系》

7月13日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「外感覚・演習『ファウスト』」

[1]外感覚とは。
 ・全身を前後に二分し、前(顔・腹・脚)、後(後頭・首・背・腰・外腿)の
 身体感覚を持つ。前=内感覚 後=外感覚とする
 ・内と外=感覚を持つための身体エクササイズを行う。
 ・日本人は基本を内側におくが、外側につくるのが外国人的な身体の使い方。
 ・作品をやるときには、自分の身体を感じてやる。
 (手のひらと、手の甲=日本人はひらで感じるが、外国人は甲で感じているの
  では?)
 ◎ 海外の作品のときは、それにふさわしい身体の感覚が必要。
 (日本の感覚ではなく、西洋の感覚で捉えると変わってくるのではないか)

(1)身体の外感覚をつかむ。(「ファウスト」などを、日本人の身体感覚でやると
  違うのでは?)
  身体感覚を変えると、作品感覚も変わる。
 EX-①外側で「この花を見ると思い出す」とやってみる。
 →観ている方は分かりやすい。役者は内側でやったほうが実感があるとの意
  見も。
 EX-②「一枚、二枚、三枚・・・、あれ、一枚足りないなぁ。」
 内と外・両方でやってみる。
 (爽)快感→外側のほうがある。
 実感→内側のほうがある⇒役者は実感はあるが伝わらない。日本の芝居っぽ
 い。
 EX-③「実は、それ、私がしました。」
 outside(外側)、inside(内側)でやってみる。
  ↳分かりやすい ↳役者がやっているという実感は持てる。観ていると
             湿っぽくもある。

[2]演習テキスト「ファウスト」
 ・身体感覚を変えて読んでみる。
 P25~ 3人組で練習。身体をそれぞれ変えること。
 発表(演ってもらい、演者が何をしていたかを言い合う)

 ①組 身体感覚より身体運動になっていた。それは、キャラクターではない
    (塾長)
 ②組 オーディエンスからの感想:背中に長方形の 背中に重たい羽 前に何
     かが 外でやっているのが分かった。
     役者の感想→言葉によってポジションが変わった。宇宙観があった。
 ③組 オーディエンスからの感想:身体運動ではなかった。3人が浮いている
     ように感じた。など。
 ④組 オーディエンスからの感想:癖があって同じところにはまっている。クセ
     が強く出てた

 ◎身体を超えた空間感覚をつかむのは難しいので、身体感覚を必ず経て行う

 演習―2

 ◎自分自身の感覚として、「ファウスト」を掴むことができるか
  P175~ ファウスト・メフィストとの掛け合い(男・男)
  P192~ マルテ・マルガレーテの掛け合い(女・女)
  P206~ マルガレーテ・ファウスト(男・女)
  練習 個別で磯貝塾長の指導

 ・日常喋っているときの状態を知っておく。(自己状態の認知)
 ・感覚は、力強くなくていい。

 ◎意識と感覚の違いを掴む。
 ・全体的に感覚としては、"やりすぎ"てしまっていた。(激情的)
 ・感覚はとめられない。いつもゆらいで、動いている。身体感覚とは、そういうも
  のではないか?

 ◎意識・実感より、中間のことをとらえる。
 意識の強さが災いすると頭表現となる。すると喉頭が締まってしまった。

 ◎やりすぎから次の段階へ
 感覚的なものを捉えていく。抜いてなくすのではなくて、外側において緩和さ
 せる。こなれてきたなという方向へ持っていく。

◆本日の磯貝語録
 意識、実感から、全体感覚という次の段階へすすむ。

声・ことば表現テーマ別(6/8)                  《ことば系》

6月8日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「ゲーテ 『ファウスト』」
[Ⅰ] 塾生研究発表
 (1) ゲーテについて(資料参照) 安藤敏彦
 (2) 「ファウスト」について(資料参照) 蔭山祐次

[Ⅱ] 発声(同調共鳴法)(磯貝塾長)
ピアノを使って
① 地声;喉を下げる、鎖骨の辺りに手を当てて、ピアノにあわせて「アー」
 ・ノドが落ちた鎖骨のあたりと、鳩尾との間、半分あたりのところを響かせる。
 ・一人ずつ音をチェックし、2グループに分ける(A;口鳴り B;アンダーコード
 の胸声)
 ・Aグループは、ノド下げ、ノドあけで響きをみつける。
 ・全員で響きを感じあう。うまくいくと腰、背骨のあたりも響く。
  出している震動が同調しあってくる→似たような笛、違う笛とやることでよりよ
  い笛になる。
         ↓
  震動を体験する(自己と他人の体震動)→よりよい笛へ
  震動を同調することで音をつくる→声自身が自分の意識や感情をつくり出す。

 胸声;震幅を広くする、低い声の響き。cf.チベットのラマ僧の声
      女性は子宮、男性は膀胱を使って。とめない、ためない、とじないで
      発声する。
・口を結んで、自分の響きを減らしていく。自分の周りの空気が震動している感
 じを捉える。
 (ハミング。m-で)
 鼻、おでこ、こめかみ、後頭部、全部を使って

◎震動が共和できる
 ・響きのなかでやれば、響きのなかに入ってきてくれる→話芸としては高等。
 ・音としてとらえていくこと(音を使って意味をやろうとしていること。)
 ・音を震動でとらえる←→音を言葉としてとらえる。(セリフ)
              ↓
    両方を近づけるとよりよいものになっていく。
②音階で、息と共鳴共震練習
 ・響きだけでやる。口うたいは×。ノドをあけて、奥歯より後ろ。
 ・近づいて半円を作り、隣の人の震動を感じる。
 ・うたわない、震動で。息を流して。周りの空気を振動させる。部屋のなかを鳴
  らす。
 →1メートルくらい隣の人と離れて、空間を鳴らす。
 →更に広がって、横・上・後ろなどに響きを。響きがあれば、小声でもホールで
  通る。
 ・響きをつくることで、鳴りをつくることではない。
 (伝統芸能は、これを追求してきた。能楽の謡曲はまさしく響きをつくる)
 ◎舞台芸術は、ここを取り戻さないと、声で滅んでいく。
 ◎倍音のない音は美しくない。響きをとらえていないと倍音ができない。
  倍音をやるためには、響きは絶対にとらえておかないとダメ。

[Ⅲ]「ファウスト」演習(新潮文庫版)
 ・字で書いたマンガである。あとは、ドイツ語の研究に使いなさい。
 ・P12~の前狂言の部分 
 何だろう・・・? 前口上か?ゲーテがそう考え、それぞれの役は、ゲーテの考
 えを代弁している。役としては、徹底してこの役をやる。印象づける。

(1)読み合わせ(3役を選出し)
 ・それぞれのキャラクターを分ける。近づけない。
 ・蔑視ができなくなって、芝居がつまらなくなった。悪いものがなくなってしまっ
  た。そのために、善が浮いたものとなり、平面的な人間や社会となってしまっ
  ている。

 道化;きたない。出てきただけでおもしろい。俳優。(Aさん)
 座長;お金大好き。芝居を儲かるからやっている。(Bさん)
 詩人;作家。うらではめっぽう女好き。(Cさん)

 どんな人間性か 簡単なのがよい。
 ・初見でも読まずに、喋ること。相手に向かって言っている事が、相手の頭に
  入っていくこと。
                                 ↓
                       頭の回路をこちらにする。
 自分の頭に向かって読んだり、説明してはダメ。これがつまらない原因。
 落語家は相手に投げている。

 ・P18.L10 詩人のセリフ/詩らしく読む。恍惚として。
 ・P19 道化/最初は面白かったが、だんだん嘘っぽくなってつまらなくなった。

<相手に向かって喋る。読まない>→どうしたら克服できるか。自分に近いもの
                       をつくるよりも遠いところでつくるほうがつく
                       りやすい。

P21
 道化 暴走してしまった。激してしまったら、劇じゃない。どうしたらいいか?
 座長 暴走はしてませんでしたが、計算をしていなかった。
 詩人 落ち着いていたが、余裕がなかった。

 ◎劇をするときの状態を考える。

 ・観客に届けようとはしていたか?
 座長 していなかった
 詩人 始めはしていた。(初めより最後を決めたほうがいい;塾長)
 道化 観客はいなかった

 →観客を想定してやり直してみる。

 座長のセリフ
 ・聴きやすくなった。入りやすくなった。etc・・・。
 ・初めは良かったが、後半あきる。→なぜか?
 ◎音程が変わらない。気分を変えたつもりでも、ポジションを変えなければ、
  ずっと一緒としか聞こえない。
 ◎人間味;いろいろなポジションで喋ること。動くこと。
 →意図的にやらない。いやらしくなるから。思わずやってしまう。
 ◎崩すのが芝居 → 崩れてしまっているのは、キャラクターなだけ。

 P25~
 メフィスト Dさん
 主     Eさん
 ラファエル Fさん
 ガブリエル Gさん
 ミヒャエル Hさん

 ・キャラクター差があって聴きやすかった。
 ・地上の神のようだった。
 ・メフィスト、邪悪さがたりない。
 ・天使とは、何か?どんなものか?考える。

 ◎メフィストは、何をしたかったのか。テーマは?
 相手と、自分の立場をはっきりさせないと、演じられない。
 役のキャラクターとして、この部分はこうなるというものがないと、おもしろくない。
 キャラクターをおとしこんでいく。

 ファウスト=リアリスティックではないが、現実的ではない。テーマや概念を追
 求していく。

◆本日の磯貝語録
 ・セリフを自分に向かって読まない。相手に向かって喋る(投げる)
 ・舞台芸術は、響きを取り戻さなければ、声によって滅ぶであろう!
◆本日の感想
 同じ音程で振幅が異なったそれぞれの声が、同調していく心地よさ・・・。
 倍音を感じる出す声に!台詞を喋る(読む)とは、自分の頭に読まない。聞き
 手へちぎっては投げ、ちぎっては投げという回路をつくる。"劇"とは日常を
 "激"することではない。では"どう"するを獲得する。

声・ことば表現テーマ別(5/11)                  《ことば系》

5月11日(日)声・ことば表現テーマ別

講座テーマ「泉鏡花 天守物語」
[1]歩行チェック
(1)2人で向かい合って歩く+会話をしながら(喋りながらキレイ歩けるか)

(2)1人直線歩行と五母音発声
 ・踵を出す・肩は自然に振る・腕は胴の少し後ろに引く。背中や頭で顔をコント
  ロールする。
◎見られている、見せているという意識を半々で持つ。ほおばった状態で言葉
  を入れる→浮き気味に
 ・イ(中心から)、エ(口の中で響きをつくる)、ア(歯に当てない)
 ・オ(懸壅垂。出した音が戻ってくる)、ウ(唇音はダメ。口の前でうがい)
 ・ウは喉・鼻で響かせる。本来はエネルギーの高い音なので出すのが大変。
 ・自分の喋っている実感よりや、口のどこにあたっているかよりも、全体で調和
  の取れた響きをつくる。
 きちんと佇まったらば、イエアオウができる そして歩く
 ◎これは非常に大変なこと これをやる

(3)再度、2人ペアになって喋りながら歩く(会話) 歩きながら語るのを見せる
◎何かを始めたら「見せている、聞かせていると強く意識する」
 →役をやるのであって、自分をやらない。
  客がいるステージだとという意識を持つ(稽古段階でも)
 →「人と共有できる意味を持つ」→ 生命感=美意識
   これを新たに作ることが、私たちの仕事。
 ・根源的なものがあるか、今はそれが欠けている。
 ・どうなるか分からないから、流される。何をどうするかを明確にし、具体化さ
  せる。
 ・「先」は、何なのかを考えていく。漠然を思わない。サンプルはない。

[2]テキスト演習「天守物語」
(1)概論と復習
 ・鏡花を大きくつかむ
 ・天守物語を大きくつかむ
    →これを常に抑えておく。

 ・我々の仕事は、テキストをそのまま表面的に整えることではない。
 様々な解釈をして、新しい世界として提示することである。
 ・冒頭シーン:意味がつけられなくてはいけない

 ◎解釈と意味づけを明確にする。

 *幕が開いたら、いかに早く"こういう世界なんだ"ということを客に分からせ
  るか。
 *役者と作家しかいない。演出家が幅をきかせているのは、役者が勝手がで
  きない ダメ →役者の勝手が勝手すぎるのもダメ。



(2)読み合わせ
◇P81~ 天守夫人登場まで
 ・幕開きのシーンは、何を現そうとしているのか?
 ・P79のト書きから探っていく。
 夫人が帰る前に花を釣っている→天の花or地の花か→解釈は?
 セリフの意味を探る→他愛のないセリフの意味づけが難しい。

◇P81 L3から
 ・「いい見晴らし・・・」とは? 薄はいくつなのか?
 ◎セリフを鵜呑みにしない。何を意味しているのかを必ず考える。
 ◎役をもらったら、自分なりにつくってくる力が必要。あわせてみておかしけれ
 ば、どんどんとつくり変えていく。複数のつくりができるように。
 ◎芝居は役者がつくるもの。個人で役はきちんとつくってくる。

 ・四重、五重のあいだに断絶がある。五重は別世界。四重、五重の差は何か?
 ・獅子頭が動く・・・など → 現実世界と霊界。

 ・時間や起こっていること、人間関係などを、文学的にとらえることと、
 上演するために-何を見せるか、どう聴かせるか、どう空間化するか-
  →これは、役者が考えることで、演出家が考えることではない。
   きた役をものにするために、発明をする力が欲しい。

◇P81 L7
 女郎花のセリフ→具体的だが何を表しているか。
 ・五重は、外から認識はできるのか。上からみると下からみるとどんなふうに
  見えるか。
 ・次元の違い→五重でおこっている世界はなんなのか。
 ◎意味づける→意味づけるのが芝居なのだ。

◇P79 L11
 ・視覚的な説得性が薄いと、客には分からない。
 (見せたら、その役を性格づけることになる)

 ・役の日常をつくる。細かく読み込まないと演じられない。
 ・書いてあることだけをやらない。生活を造りだすこと。
 ・役がどんな仕草で、何を伝えようとしているか。セリフ外のときに、何をしてい
  るのか。それらを埋るが、役者である。
 ・五重の世界を具体的に想像設定する。
 ・下界と何がどの様に同じで、何が違うのか。
 ・侍女たちは何だろうか。→仕事なのか、死なないのか、年は?日ごろはどう
  しているの?

 *役者は、宝探し。そのままをやらない。

◇P85 夫人帰宅から
 ◎シーンをつぶしていく。
 ・夫人と薄が対話をしている間、他の侍女たちは何をしているのか。
 ・とっても具体的にしていく、しかしファンタジーを出して。
 ・薄と、他の侍女との関係?現実的なところ、ファンタジーのところ
 ・夫人の移動手段は?空を飛ぶ?など、いろいろつくり出していく。
  その仮想そのものを頭から取り出して実際のものにする。でなければ、演じら
  れない。
 ◎どこまで広げられるか。深められるか。どんでん返しをつくれるか。

◇ P90~L10 読み合わせ
 ・地上界の様にリアルな世界
 ・魔界、霊界など、非リアルな世界
     ↓
 これらをどう具体化していくか。
 適当なところで終わらせず、より細かく考えて行く。
 ◎セリフの少ない脇役を、しっかりとつくることがおもしろい。
 ◎セリフの多い役は、身動きできない。脇ができてくると、姫君たちもできてくる。
 ◎キャラクターが、実在的、非実在的→非実在的なほうが、多彩な声が必要。
 思いつきよりも、考え出す

◆本日の磯貝語録
 ・書かれた文字は、その裏に沢山のものを含んでいる。
 ・喋るその言葉の中には、沢山のものが含まれている。

◆本日の感想
 いい役者への道は果てしなく遠い。