ことば発声レベルアップ講座(7/8)

講座テーマ「話し言葉表現と聴者認識」

[1]ストレッチと準備体操

[2]基礎技術復習(声とことばのための)
  (1)呼吸練習:胸部(郭)→横隔膜→丹田→鼡径部→会陰部
  (2)ささえ呼吸練習:丹田ささえ法、横隔膜ささえ法
  (3)息継ぎ(ブレス)の方法-深さと早さ、そのささえ
  (4)呼吸と声をつなげる

[3]話し言葉表現と聴者認識
  (1)話し手の意識と聴者認識ということ
  (2)話し手の感情:快感情、不快感情表現の差、ちがい
  (3)コミュニケーションの ①説得力 ②伝達力 ③聴者意識
  (4)話し手の最適心身状態(気持ちが先行しない)


◆日本人は他人の事に気を使う人達だと良く言われます。
(関係の気づかい)
しかも、どう思われるだろう、どう言われるだろうと事前の気遣いは
相当です。

けれどひとたび話し始めると聴く人の事、特に聴いている人の
今の種々の状態の変化をていねいにキャッチして話したりしません。
むしろ相手よりも自分の考えや気持ちをどう伝えるか、という事が
先行してしまいます。

ていねいにしっかりと聴き、相手の表情や態度を正確にとらえれば
言葉少なめに伝わるものです。

実のところ自分の気持ちや思いを正しく人に伝えることはむずかしい事です。
本来、言葉とは相当論理的なものです。
一方気持ちや思いは原則主観の領域で論理的に表わすことは中々むずかしいです。

この非論理である気持ちや思いを論理化するのが言葉ですから、
言葉の条件や法則にそわないと、何を話しているか分からないのは
当然です。

文章なら文字化できるので大分すくわれますが、
話し言葉は残らないしやっかいです。

私達は声の高さ、強さ、スピード、はっきり度からはじまり、
どう話したら良いかという「話し方法則」を現代日本語として
持っていません。

各自の経験則が頼りですから、皆まちまちであるのは当然です。
せめて今話している目の前の時々刻々をていねいに意識
する聴者認識からはじめてみて下さい。

ことば発声レベルアップ講座(5/27)

 ことば発声レベルアップ講座

「日本語アクセントと発音」①

(1)音声的特徴としての高低変化(アクセント核による)
(2)地域差
(3)拍語等による形態
(4)サンプル語による演習

「日本語アクセントの高低変化こそ原初的身体知」
アクセントが変わると同字語の意味が逆転することは周知である。
自動発語している我々にとってアクセントは無意識範疇の出来事と言える。
但し、逆転されると「えっ、何?分からない」となる。
もちろんアクセントを自由に変えたり、増やしたりしては当然「ことば」は壊れる。
考えてみるに、日本語は音の高低、その置き所によるリズムで成り立っている。

日本語は「意味主体語」と思うフシが多いが、それどころか実に“音楽"だ。
音楽は音をルール化し、再現表現を試みた身体知だ。
ことばを文字化し、静止物とする嫌いのある現代社会では、固定化した概念(意味)を重要視する。そこにはアクセントは必要ないし、出現しない。ところが、ひとたび話し始めると、日本語はしっかり音楽なのだ。
それは意味性より、もっと根源の音楽としての身体知の世界が母のごとく横たわっている。日本語アクセントは母音でつけるしかないのだ。
高いも低いも流れるも、全て母音が歌うことで起こるのだ。

(次回は語句のアクセント表現から、文章の流れ(抑揚)へと進む。後半は日本の歌「和歌」へと進み、なぜ和歌が未だに多くの人に親しまれるのか、その必然を日本語の音、その音楽性から声を出し、身体実感してみたい。)

ことば発声レベルアップ講座(5/13)

2010年5月13日(木) ことば発声レベルアップ講座

「日本語の形と特徴-語、句、節、文」

[1]ストレッチと体づくり(磯貝講師、以下全)

[2]言葉(Voice)を考える
・書き言葉(文学言語/letter):形式、サイン、残る、平面、知覚的、他
・話し言葉(音声言語/voice):身体的、感覚情動的、消える、音響、他

[3]「話し言葉と書き言葉」の実際(演習と討論)-別紙プリントによる
 (1)あいさつ(三種)
 (2)ほめ言葉(三種)
 (3)さいそく詞(二種)
 (4)お願い(二種)
 (5)説明(一種)
 話し言葉として各人、各題について発表。それについて批評。

〈批評〉例
・話しことばそのものがのっかっている大きなエネルギー態がある。
・Voiceからくる心のゆらぎが話者、聴者共にある。
・話しことばは文字化出来ない多くのものでささえられている。
・多くの語や文を知っているかどうかで話が豊かになる。


  「声は心を表わす道具」

話し言葉は否応なしに話者の心が表われる。
その言葉の意味にまで話す人の心(意味合い)が現われる。

例えば“イヤダ”という一言も、その強さ、個さ、高さ、スピード、
アクセント等 ごくわずかな要因のちがいで聴く人は話す人の
心のちがい(意識や感情と言う場合がある)を聴き取り、
自身の心も変化をおこしている。

同じ事を文字で表わすと、その文字の前後関係から、
これこれこういう意味合いであろうと想像理解している。
それを通し読者の精神的想像力で心を想起している。

一方声ことばは、そのものでダイレクトでウソはない。
声というものの能力で、その言葉の意味と共に心が付与されている。
当然聞く人に意味と心を同時に聴きとっている。
声無し言葉(文学言語)は人の生の心は表わさず、
概念や観念を細分表現していると言えよう。

声は心を現わす道具である。

それどころか、声は心である。

ことば発声レベルアップ講座(4/22)

講座テーマ「ことばの発声と発語」

○言葉は一所懸命しゃべれば伝わるものではない。
 効果的な力点がある。(体の使い方。体の感覚)


[Ⅰ]ボイストレーニングとは
言葉の前(素)の声をつくること。その声で良質な言葉をつくること。

言葉=書く(文字)、音(声)、思考(心)意味(内容)の側面をもつ。
声(音)=発信人、受け手が同時に瞬時に共有できるエネルギー
「声」は人間を表現するベース。全身が参加してつくる媒体。

 文字の日本語-声の日本語(未だ確立していない)

[Ⅱ]声の日本語について
・声は形がなく消えてしまう。しかし聴く人の中に残すことが出来る。
・人の営みの中には声(言葉も)だからこそ分かるものがある。
・日本人として日本語で生活していく時、もう少しグレードの高い「日本語」
 (音声日本語)がある。 それは“何で”どうすればいいのか。

「今」を伝えあうツールとして声の言葉は重要/即時性
 ・感情-声が一致している
 ex)海外の芝居を観て言葉の意味が分からなくてもわかる。→音を聴いている

[Ⅲ]呼吸を知る(演習)
 人と対した時、持っているもの(言葉)を共有できる呼吸の獲得

(1)話者の状態(日常的な緊張をほぐす体操)
 1)手首をぶらぶら(腕を前、後ろへ)手首、手の掌、手の指の脱力
  (手のひらから気が出ている。鼻から吸呼する。背筋を立てる)
 2)首と肩のリラックス(各個人) ※首と肩は緊張がきやすい
 3)手のひらをこすり合わせる
 4)ロールダウン→ロールアップ(後頭部をちょっとひく→胸があがる)
 5)かかとで足踏み

(2)呼吸運動:横隔膜位置の柔軟
 6)両手を組んで上に伸ばす(肋骨)
 7)横隔膜を動かす (データメモ図あり)
  図①~④間で順に動かす。 ※呼吸で動かすのではない。

(3)丹田をつかまえる
 1)丹田を指で押す→腹筋ではね返す。鼻から息を深く吸う。
  再び丹田を押し込みながら息を口で吐く。をくり返す。

[キーワード]声を律する/身体の佇まい/中心感覚

(4)声を響かせる
 ・声は口の前部ではなく“笛”(下顎突起の奥)の上に音を溜める(響かせる)
 ・口から音をはかない(言葉調音点から口腔の奥に響き返す)
 ・口を浅く平たくあけ、平舌(舌面を平たくする)で発声しない(響かない)
 ・人は自分の声帯の出した音を、少しでも多く身体に響かせると
  ”声”の実感が持てる。
◎聴いている人が活き活きとする音声は発しても生き生きしている。
 ・音声が対等というのは相手に伝わる音声である。

(5)声を言葉にする“舌”の仕事
 1)舌小帯をつかって喋る<資料-舌の解剖図>
   舌小帯を潰さない。離して舌小帯を鳴らして言葉を作る
   舌は浮いている→喉は下りる
 2)舌の動き。位置で言葉は決まる。
  ・母音:位置が決まっている→歯の内側で作られる響き音
  ・子音:舌位と動きで母音の邪魔をする音。
→母音が良くなる状態で子音をつくる。舌の使い方をマスターする。
 子音は舌先。舌辺でつくる。

[Ⅳ]テキスト朗読による演習
 テキスト「ニセモノ」谷川俊太郎作 朗読
・語の発語と文の発声
・発声法ーその声になること(連続性があるもの)
・流れとリズムで文をつくる。
◎日本人は日本語を見るとその意味が分かる。語音を発すれば当然意味が
 わいてくる。
=その音を聴いても意味が分かる。
 ※意味が取れないのは音を発しているだけ。

・グレードの高い音声は口読みをしてはいけない。
・音を出しながら(その出した音をきいて)意味がわかるはず。

【本日の磯貝語録】
聴いている人が活き活きとする音声は発しても生き生きしている。
日本語を見ると意味がわかり、声に出せば当然意味が湧いて出て、
聞けば意味が分かる、 これは日本人の条件である。

【本日の感想】
言葉を仕事にしている者として、大変刺激を受けました。
確かに話す言葉のグレードは社会全般下っているとおもいます。
それにつけても声の重要さを痛感しました。 

ことば発声レベルアップ講座(4/8)

講座テーマ「日本語の正しい発音」

[Ⅰ]体の調整(各自)
・下半身の強化

[Ⅱ]本講座の目的
・話し言葉のグレードを上げる(品質を上げる):声による日本語
・話し方以前の「言葉」を問題にする(言葉の健康度)
・声がどのような上質の言葉を形成するか→言葉作り

(1)言葉とグレード
◎「言葉のグレードを上げることは“あなた自身のグレードを上げる”こと」
◎「言葉のグレードは声の質を上げる事で始まる」

聞く人の分かる言葉・言声を発することが、話し言葉の全ての始まり。

(2)主観と客観
・知識、経験etc. 個的レベルの「自分」や「私」の想念は『主観』である。
 「社会」「お金」「他人」といった『客観』のレベルがある。
・同一事象に対して“主観言語”と“客観言語”がある。

     「客観」  ⇔  「主観」
 公(Public)⇔  私(Private)
・公共、共通、集まりを形成する一員である時、主になるのは“集合”であり、
“私”は主にならない。“共”という実態が主体となる。

・Public language かPrivate language(私語)かは音を聞いていればわかる。
→ Public voice⇔Private voice

[Ⅲ]日本語音声の基幹音,五十音+50音(資料ー五十音図)
 発した音をどう連ねるか。語音を作る。音で違いをつくる。
(1)通じる音声・通じる言語
  通ずる:取り引きができる。通商。お金になる。社会的である。
       責任があるために社会的効果がでてくる。
       Publicの喋り方ができないと、社会的効果は薄い。
       責任があると効果がある。
    →責任がある言葉・音声・喋りがある。
    ⇒なにがなんでも分かる言葉
    ⇒音として有意な音声である。

(2)基本演習(Public音をつくる)
  共通語(Public言語):喉の振動。ひびき実感のある言語→身体言語
  私言語(Private言語):喉の実感が少なく、共鳴率が低い。
                自己認識、自己感覚の強いことば。
  Public:全部一緒に、心身ともに語りかけ、納得してもらうもの。

・口喋り、平舌→私言語になってしまう(エネルギーが低い)
・喉を下げる→喉に音が響く(口頭共鳴率が高い)
・音声は人に分かるように出すのと、自分の実感で出すのでは別物。

◎どのようにしゃべるかではなく、どんな音で喋るかが重要。

 どこで音をつくるか?
・口でつくっていた音を喉に置き換えていく訓練(磯貝メソッド)
・声が息で作られているなら、喉を意識しないのはおかしい。
 喋っている時、喉の実感があると情緒的にならない。

☆喉をとっても意識する(今後の目標)
 ○笛下(アンダーコード)を触りながら名前を言ってみる
 
◎喉が鳴り、響いている - グレードの条件

言葉の音は口でなく、発信源の喉にある。
喉に向かって喋るし、喉に自分がいて喉が考えている。

【本日の磯貝語録】
どのように喋るのかではなく、どんな音(声)で喋るかである。
前口喋りの音を、喉に置き換えてゆく訓練が磯貝メソッドはなし方訓練法です。

【本日の感想】
日本人が自分と他人の線引きがへたなのは、宗教倫理観が低いことに関係して
いるという話がすごく興味深かったです。これから1年かけて喉を降ろすこと、
そこで発する良い声を獲得していこうと思いました。