調音・活舌法講座(7/15)

講座テーマ「母音活舌-1(4~7月期全講座まとめ)

[1]ストレッチング

[2]“息”を吐く(流す)本意と練習:喉より深い息、息当て(声)演習、
  丹田のささえ。

[3]第1期全講座まとめと復習
 (1)4/15「声と言葉と舌機能」:母音明瞭度、聴き易いひびき、“ア”音活舌、
       良いサンプル音を聴く。
 (2)5/6「母音調音“O”音」:踏み足、股割り、重心、調音とは、
      “O”音調音、発声と発音のちがい。声の鳴りと響きのちがい、
      舌根と下顎の分離、オトガイのささえ、舌のかまえ。
 (3)5/20「母音と舌使い」:四足歩行、口サイズの測定、有効母音音、
      舌のコントロール、出すより聴く。
 (4)6/3「ささえ法」:顎開け、笛降ろしと笛実感、タンギング(活舌、舌使い、
      舌さばき)、顔筋運動
      舌先を細く、舌小帯と舌根運動、舌筋と舌骨、息の勢いと深さ。
 (5)6/17「5母音磯貝メソッド調音点と舌ポジション」:声のピッチング、
      “イ”音タンギングとリズム取り。
 (6)7/1「口腔をひろげる」:音声共鳴腔=喉頭、咽頭、口腔、鼻腔。
      顎関節開け、下顎下ろし。舌形コントロール(巾、広さ、長さ、
      固さ、湾曲度、柔軟度、太さ)。舌尖の弾き練習。

[4]全六回分復習と討論


◆「滑舌から活舌へ」

いつから「滑舌」という概念が興り、それに対し「滑舌」の字を宛てたのか未研究なので定かでない。調音(構音)舌運動の舌機能性について「滑」が選ばれたのか大変興味がある。
厳密に言えば舌が滑らかにうごく、すらすらよどまずに通る事を表している様だ。

近頃発語状態の悪い人の顕在化が増し「カツゼツが悪い」という人が急増している。

その症状は
①母音構音が悪く分離が明確でない(舌のうごきが悪い。母音舌
 が定まらない)
②子音構音舌運動が不正確で不明瞭発音をする。特にサ行、
 ラ行、タ行等の構音が不正確である。
③ある子音からある子音(両者共特定子音)への連続音の発音
 不全。(舌さばき)
④叱音
⑤ころび、飛び、等
である。

①~③は原則舌構音障害で、生理機能的である。簡単に言うと舌と耳と顎がうまく働いていない症状であると言える。手術が必要な場合は手術し、術後の音声リハビリ(もちろん聴く力も)で改善へ向かう。

磯貝メソッドではこの具体的にして切実な症状の改善を、いかにも文学的な「滑舌」という文字を使わずに、「活達舌機能」を意味する
「活舌」の文字をつかっている。(英語ではTonging“タンギング”)構音(調音)のための舌機能を活性化し回復を行おうとすることだ。


調音・活舌法講座(5/20)

2010年5月20日(木) 調音・活舌法講座

 「母音と舌使い -かまえ法」

[1]ストレッチングと体づくり(磯貝講師、以下全)
 (1)四足歩行
 (2)腕振りスクワット
 (3)下肢・腹背筋強化

[2]母音調音と舌運動
 (1)全ての母音は歯の内側にある。

 (2)5母音のちがい
  ①顎関節の開閉度
  ②口唇、表情筋の差位変化とうごき
  ③舌の形、位置の差とうごき
  ④息の高さの比

 (3)各人の口のサイズの各形態による計測と解説

 (4)伝える道具としての言葉
   母位の形態分類 イ)前、中、奥 ロ)上、下 ハ)巾広、狭

 (5)日本語母音を調音する
  )舌の運動性と機能(解剖学的に)
  )舌の形と舌のかまえ
  )オトガイということ


 「なぜ口のサイズを計るか」

①口唇を左右にひらき口角と口角の巾を○cmと計る。
②後頸をしっかり固定し思いきり下顎尖端(オトガイ)を下にさげ、人中とのキョリを計る。
③顔を横から見、下顎前歯茎部から下顎角(下あごの角)までのキョリを計測する。
④開口し、下顎最奥歯(左右8番目)の左右巾を計る。


◆私達は時折口の中を鏡で視ることはある。しかし成人したいま、それがどのくらいのサイズかを知らない。それでも生きて行けるし、喋る事は勿論出来る。しかしひとたび自分の言葉や声のひびきを少しでも変更しようとするなら、その寸法(サイズ)を知り、どのくらいの大きさかを理解することは重要な事である。人の声は声帯の作音能力と息の強さや持続力(呼吸のささえ力)に影響されるが、声帯で作られた声が、言葉になる工場、それは今計測した口腔の形や大きさにより、出来てくる製品は異なってくる。考えてみれば当たり前のことである。もう一度確認するが言葉は口腔と鼻腔で、口唇と舌により生成される。こう考えると、自分の口腔の大きさを知ることは言葉改善のスタートであると云える。この後にはじめて「舌」をどのように機能させるか「活舌」の具体的方法に入って行く。

調音・活舌法講座(4/15)

講座テーマ「声の言葉と舌機能」

[1]ストレッチ

[2]講座 磯貝メソッドにおける“調音”とその先

・ことばをつくるのに重要なポイントは?
 ①母音(日本語においては最重要ポイント)

 ~磯貝メソッドにおける声・ことばは原則が、他人が聞いて
  不快感をおぼえない、一発で良く分かるものである。

・ことばは自己主張する道具ではない、とまず知る事。
 他者の理解を求めてこそのものである。

(1)この講座を受講した訳は?(各自ショートスピーチ)
Aさん:舞台を始めて、基礎が足りないと感じた。
Bさん:自分で色々と芝居の訓練をしてみたが、役者としてのレベルに足りない
    と感じた。

   評:自己実現と、役者としてテキストを実現させるのは全く別!!
     外の人間が分かればいいのであって、自分でどうすれば良いか悩む事は
     特に要らない。それより正確に考える主体を育てること。

Cさん:周囲の人から話が分かりにくいと言われた。

   評:今より良くしたいというベクトルは良いことだが、それを本当に獲得する
     にはその先の目標が必要となる。“スゴイことば”を発せるようになると
     いう決意が必要。

Dさん:自分で“サ行”が弱いという自覚がある。
Eさん:自分の経験から得た方法論はあるが、教える側に立った時に基礎のキも
    知らない人にはそれでは通用しないと感じた。また“学ぶ”という刺激を
    求めて。

・磯貝メソッドはらせん方式。
・ことばの事をやるなら“耳”が良い事は必須。
・ティーチャーとしてやるなら、外国語の耳も欲しい。

Fさん:ことばの専門職になるわけではないが、人に伝えるという事は何の仕事でも
    大事だと思うので是非とも身につけたい。また、実際サ行とタ行とウが
    弱い。


[3]調音、活舌矯正をするに当って理解しておくべきこと

(1)良い声と良いことば(質の高い)の条件とは(磯貝メソッドテキストより)
・ことばの地域性、個人性(個体差)をどうとらえ、乗り越えてゆくか!
・職業人として喋るのであればまずは『明瞭度』
 相手にとって聞き取り易い事。“自分なりの”は通用しないというスタンスから
 始めてほしい。

・時代が変わる事で、声に限らず音の事は必ず変化していくものである。
 当然言葉も変化する。声の必要度や価値も変わる。

(2)母音(5母音)をつくってみる
Ex-(1)5母音を各々発音してみる。

◎声は文字と違い、生きていて消えてしまう事に意義がある。そのため本気で伝え
 ようとしないといけない。野球のルールにストライクがあるように、聞いた人を
 ワクワクさせるような音のストライクゾーンがある。しかし、そのストライクゾーンは
 自分が決めるのではない。多くの他人、さまざまな社会、そして目の前の
 “理解”という形でジャッジしてこちらに伝え返してくれる。

・良い母音をつくる為には良い音のサンプルが必要。まずその音にならい、しっかり
 と身につけてゆく。が、それが終着点ではない。これは始発点。その先、
 人間性、社会性、芸術性などの具体的な“音”があり、それと共生する事で、
 生きた意味ある母音を獲得して行く事が重要である。

・音(声)には広い、狭いという音質がある。日本語の母音は広くなると不鮮明に
 なる。

Ex-(2)朝→アサを調音する。

・どんなに音がキレイでも“a, sa”と聞こえる時は未完成。
 発した音で“朝”を連想させるものであって、初めて調音ができた事となる。

・文読みから語読みに一度戻して意味を浮き上がらせる音を精選する。
 伝えるという事を感情任せにする前に語をしっかりと操れるようにする。
 そもそも語に意味があり、その音がある。

◎『明朗』が『明瞭』を生む


◆本日の磯貝語録
・“伝わる言葉”そして“質の良い言葉”はまず“明瞭度”の高さ。
 そのためには良質な“母音”を獲得する事。それは正しい
 “舌の使い方”を知る事(活舌法)。その上で重要なのは
 “人間が人間に伝える言葉”の本意と実感を身につける事。

◆本日の感想
・今日は今年度の初日です。この講座では何を学んで何を身に付けるのかの
 具体的なお話でした。周りにプロの方が多く、立場は大分違いますが、
 皆で力を合わせて伝わることばを目指して行きたいと思いました。