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セリフの発声レッスン(6/28)

講座テーマ「体が思う -声と体の関係-」


[1]各自ストレッチ

・俳優は“養成”ではなく“製作”しなくてはつくれない。
・仙骨を清々しく意識できれば、美人でいられるぞ。
・君の感じている自由は勝手なだけで、自由じゃない。
 -不自由を持たない故に。
・ムーブメントのことに対して、何か照準を定めて動くこと。惰性にならぬために。
・自分の中に“柔軟性があるな”とか“敏捷性があるな”と感じるセンサーが
 育つと表現の欲求も育つ。どう、何を動くかの本能に行き着くと良い。
・神経路を全身に感じる。とても速いこと。知覚脳ではなく、運動脳!!
・鳩尾の裏(背中の)に“はい”という声を当てる。当てた位置を覚えて
 意識したまま、ストレッチをしてみる。 →身体に言葉を持つ原型。


[2]「星の王子さま」輪読(#11~)

・読み始めた時には、すぐそれになれると良い。 →息と声の力
・疑問形の言葉が疑問に聞こえない。 →本人の中で疑問にはなっているか?
 →はい →相手に問いかけることが必要。自問ではない。
・疑問という情動を持ってる人間と持ってない人間では、天地ほど違うぞ。
・「“他”を意識する」ということが不自然をつくり出す原点。

◎自分に読むのではなく、相手に対して話す。「話す」は「離す」こと。

・うぬぼれ男のセリフみたいに読めますか?読者と聴者の間に膜があるように
 感じる。 →自分と役との間に溝がある。

◎自分で自分をどの程度意識しているか。自分で他人をどの程度意識して
 いるか。自分で自分をケアする読みと、自分が何かをケアする読みの違い
 をつくれる様に。

・セリフの所で無理してないか?いつでも少しずつ「意識という無理」をしてしまう。
 セリフでも地読みでも自分を殺そうとしてる気がする。
・意識だけの表現に聴こえる。無意識も含めての納得で、それを持って
 読んで欲しい。
・その人の意識でやるのと、その人そのものでやるのとは違う。
・親しみを出してない。良い答えばかり追うと必ずミスをする。そのミスが見えない。
・いま、一番芸で必要とされるのは“不安定な安定”だが、
 いまはただのくちゃくちゃか、ウソくさい安定しかない。
・境界をゆらゆら揺れ続けるには自分以外の力が入用だ。

☆本能的に揺れる(元々が揺れている)

・できるならば様々な事象は決まってない、変化の中に浮いていると考えれば
 アーツの入る要素がある。意識が先行していてはアーツになれない。
・自分で選べるんじゃない。アーツに選ばれること。
・作品を出すというのは、その場に参加できなかった人達に批判するきっかけを
 与える、チャンスメーカーである。
・つくるからは壊す。壊れないように働く力。


◆本日の磯貝語録
・意識が心や身体を縛ってはいけない。常に命題から心と身体を
 解きほぐそうとするのが本来の意識だ。


◆本日の感想
・アーツという捉えどころのないモノを磯貝先生が自らを通しチラリと
 のぞかせてくれるので、生きている事や、声のことをやっていられる。
 日常や現実の先がある事を感じられるなあ…と思いました。

ことば初級:音声レッスン(6/22)

「呼吸を正す/深さをつかむ」

[1]ウォーミングアップ
 歩く
 スクワット

[2]講義 「深さ」をつくる、「深さ」を知る
 深さ→おろす、さげる、引く
 1)重心の「深さ」
 2)息の「深さ」
 3)声の「深さ」
 4)ことばの「深さ」
 ことばがストレートに入るか、固まっているか。
 
Aさんについて
・くせがないのは、めずらしい。反面とっかかりがない。
 芝居のためのことを、時間をかけてもじっくり取り組みたい。
◎「できる」こととは、芯のあること。簡単に崩れないこと。
 一度舞台に立って、もうちょっとまともにできるようになりたい希望が強い。
→この先に企み、こうなりたい、こうありたいがあるか。
・自分の存在を舞台を通して実感したい。「自分は生きているんだ」
 自分に近い自分がわかってきた。自分でやることがわかってきた。
・自分で歩きはじめた。次は「深さ」。芯をつくる。芯をみつける。
 芯のあるセリフ、芯のないセリフ。漠然でなく、具体的な物体の私。
・実がわかってきた。実の実感と「私」であること。そこと動作がつながってきた。
◎自分の中に芯をもつ。周りに流されないための「深さ」をさぐる。

(1)「重心の深さ」
◎「重心の深さ」をつくるエクササイズ:
 肩・腰・膝などで止めず、足の裏から地面におろす。
 上げる前にまずおろす。丹田、鳩尾、膝、(股関節)をぬく。
 全部ぬくときは足の裏をぬく。土踏まずを地に近づける。
 その前に土踏まずを返す。竹踏み。足の裏を縮める。
 ばねを戻す。スワイショウ、スクワットしながら、土踏まずを変える。
 原則は「抜く」動き、膝を曲げるときは下を抜く
 膝を曲げないときは上肢の力を抜く・捨てる。

(2)「息の深さ」
 地面にすわって鼠径部をつぶすように前傾して息を入れる。
 伸ばしながら出す。上半身を立てて入れ、倒して出す。
・鼠径部がぺしゃんこになるまで出し切る。
・いちばん深い呼吸。セリフの場合はそこで支える。
<腹腔呼吸>横隔膜から下を使った呼吸。
・側腹、背、腰から腹の底まで全部使う。
・鼻から腹の底に直に入れて、直に口から出す。
 入り切った反動で出し、出し切った反動で入れる。
 確実にできるように、まずは5回に2回くらいできればOK
 イスに座ってもやる。
 やり切れると落ち着く。腰まわり、足の実感、意識が伴うようになる。
 この呼吸をベースにする。細くてもまっすぐな筋をつける。下に降りる。

(3)「声の深さ」
 喉の位置。喉が上がると声が上ずる。
 喉がおりている。おろすことを覚える。喉の深さ・高さ。
◎喉が下がると声が深くなる。喉をさわって確認する。
 口をあけると下がる。あけなくても下げられるかやってみる。
 舌のつけ根をおろすと、喉もおりる。嗚咽になることもある。
 掌で首全体もさわってみる。鏡を見ながらやってみる。
 顎を使わないで、歯を噛んだままで、首の筋肉を使ってやる。
・喉を上げ下げしながら声を出してみる。おろしながら、もどしながら。
・舌小帯、オトガイ舌筋を縮める。口は横に広げない。
 5mmおりただけでも声が変わる。口先から笛のひびきになる。
 喉が高いとかわきやすい。喉が低いとそのままで低い声になる。
◎鎖骨までおろすつもりで声を出す。深い声が本来の声。
 浅い声は人為的な声。高いひびきは危険な兆候。
 寝ている時緊張が高いと、呼吸が浅く、腸も休まらない。
・声が深いと、落ち着くし、緊張も低い。
 持ち声より高い声を日常使っている人は緊張が高い。
・接する人の圧迫にならない声のほうがいい。
 深い声は感情をダイレクトに出さずに収めることができる。
◎喉の鳴りが胸にひびくようにおろすと説得力がある。
 呼吸も深く、喉も深く、ひびきも深い。
◎口でひびかない、喉ダイレクトの音を胸におろしてひびかせる。
 胸の声で明るくひびかせる。大人の声になる。
 信頼できる声を出す。愛想、優しい声はなにか違う。
 自分の体本来の状態で芯をつくり、芯のある声を出す。
 芯を太らせて幹にして、だんだん枝葉をつける。
 声はまず胸声・胸部共鳴から
◎口実感でない声と言葉を身に付けること。

(4)「ことばの深さ」
 頬の奥のほう、奥だと早くしゃべれない。奥だと喉とつながりやすい。

 重心(体)・息・声・ことばの深さがつながってくるとよい。
 胸部共鳴:鎖骨の下の胸骨がひびく。
 ふだんの発声練習をこれでやる。掌を胸にあててやる。
 自分の出した声を録音してきいてみる。
 長く低い声を目指す。低い声の胸声のロングトーン
◎ロングトーンしながら、体と息と声をつなげる。


◆本日の磯貝語録
 体と息と声とことばを深い所でつなげる(一体化する)。

◆本日の感想
 「胸部共鳴」を行いました。自分が本来持っていた声を知りました。
 落ち着いた気持ちの良い声でした。
 今迄出していた自分の声がいかに不自然だったか本当に分りました。
 新しい自分に気付き発見出来た本日でした。ありがとうございました。

セリフの発声レッスン(6/14)

講座テーマ「心と体とことば -心はどこにあるか-」

[1]各自ストレッチ

・スクエアダンス(時には指も使った全身表現)
・精神の「実と虚」、体の「実と虚」の差を実感すること。
・フリーで動いていても、「カッコいい」という感覚を強く持つこと。
 人前で自由になってもいいけど、自由になっていけないことがある。 →何か?

◎生命と美は自由にできん。ありがたく従うまでだ。

・努力して美しくなろうとしてる限りはダメ。美しさに同化して隷属する。
・見え方の問題。例えば床を見てそれを美しいと思えるか?
 実際の清汚のことではない。

・腰を立てての座位練習。前の胸から背中を閉め、首も胸も上げる。
→状態の姿勢を保持したまま歩行練習。顔を太陽に向ける。

・美しい条件(美しいって何?)
→受講者の意見:丸(新円)、自然、音

・考えるのなら単純化しろ。そして単純なものは自分の中にはない。外にある。
・“美しい”を考えない。外のことを見つける。

◎“明るい”は美しさのひとつ →明るさ、明るいを動いてみる。

☆明るく動くことを気分の問題にしない。感覚のエネルギーを見せること。
 外が変わるから気分が明るくなるんだ。明るいのは外側の現象だ。

◎内に引き込まない。内で考えない。内に向かってはうごけない。

・薄くて軽い気分は何の役にも立たない。
・“暗い”を表現してもいいが、自分に戻ってしまうと結局美を侵食してしまう。
・すぐ休むな。すぐ止めるな。瞬間の反射をやり上げること。外に置け。
・動きをやっていて、自分が気に入らなきゃダメ。


[2]「星の王子さま」朗読

Q. ボディーワークをしてどうだった?

A. 清々しくなりました。(Aさん)
→Aさんは閉じない。上を開ける。そのままで感情を下に下ろす。
 引っ込めて中側でやるから反応が遅いんじゃないか。

A. “明るい”をやってる時は楽しかったです。(Bさん)
→Bさんは考え込むことを止める。来たものを反射する。
 では反射する為にはどうすれば良いか。光が反射するには速いし軽い。

・盲の人でも“明るい”が分かることがある。目がある人は
 目でしかものが見えない。耳がある人は耳でしかものを聞けない。
・開いていれば、みんな入ってくる。それを閉ざし自己判断すると、
 そのものは分からなくなる。

◎細目はダメ。おデコの筋肉を使って、上まぶたを上げ眼を開ける。

・開いていれば感覚のことは反射できる。(情緒の領域に落とさない)
・人間には「透視力」が備わっているものだ。それがないと想像はできん。
・納得よりも、同調しろ。

Q. いいものを見た時、人に教えたり提供したくなるか?
→役者なら人にものを与えることができないと。

◎3T(止めない、溜めない、閉じない)は身体だけではない。
 感覚も、心も、3Tになれると良い。

Ex-1 8~10章朗読

・ダ、デ、ドの練習。引っ込めない。前に響かせる。
・外で音をつくる。全部歯の外側で響きを完結させる。
・自分の中に入れると、つっかえるものの処理の仕方がある。
・つっかえる箇所があれば、その部分だけ取り出して書く。(漢字でも平仮名でも)
 何回も書いたら、何回も読んで頭にインプットする。

☆自分の中側に入れたら、言葉は死ぬんだと思え。

・下アゴに落とさない。オウムや猛禽みたいな上アゴが音を前に出してくれる。
・王子さまが花に言っている科白を自分の感情で言ってないか。(内感情)
 それはもう通用しない。
・語りそのものは軽快なものなんだが、自分に入れると重くなる。
・絶対に眉毛より上で感情をつくる。下ろさない。
・文末の「お幸せにね」の「ね」の出し方。相手に息も響きも向かうこと。

・やり始めて5秒くらいで嬉しくなる人。それは芸に向いてるよ。
・外側の面白さにスッと入る。
・自分が分かったり、反応できるものであれば動く。その人は少し感性が鈍い。

◎自分の心は全部外。inside routine を止める。outside に出す。

◎私達多くの人は子供の頃沢山の物事を学び、与えられ、教えられた。
 様々の事を自分の中に溜め込んだ。覚えた。
 数多く覚えた者を“良”としてはげまされた。
 確かに楽しかったり便利な時もあった。なにしろ大人がそれを良しとし、
 社会はそうつくられていたのだから子供は従うしかない。
 「良く考えろ」と言われ知らず知らずに自分の頭の中で“考える”という作業を
 覚えてやり始める。頭の中ワールドで実態のない虚をありがたく発達させて来た。
 頭の内で考える、頭の中で思うという事を中心に生きてきた。
 そのやり方が何となく便利だった。星の王子さまは“そうじゃなくてネー!!」と
 ちがう事を言い出した。今となってはどうもこの頭で考え思ってみても、
 彼の言う事がうまく分からない。いや自分なりには分かるのだが、
 多分違うのだろう。そこまでしか分からない。
 この星の人間は全ての事を自分が分かるようにしか
 解からなくなってしまったようだ。


◆本日の磯貝語録
・生命と美を人は自由に出来ない。有難く従うまでだ。
・内に引き込まない。内で考えない。内を頭にまかせない。つもりになるだけ。


◆本日の感想
・美しい-光-明るい。反射は開いていないと出来ない。
 出来るとスッキリと気分がいい。

歌発声土曜レッスン(6/11)

講座テーマ「テキストを楽しく歌う」


[1]準備(青木先生)

◯軟口蓋開けたまま、下アゴ左右に動かす。
◯前屈して上半身ブラブラ脱力。
◯ミゾオチに手当て、強めに「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、~」
 鼻で同じことをする(鼻三角に手当てしながら)
◯「Z」ミゾオチとおへの下辺りに手当て「Zー、Zー、Zー、Zー」
 「Zー、Zー、Zー」「Vー、Vー、Vー」
 イキはつなげたままだが、お腹を使って3回位。使う時、お腹引っ込めて。
◯前傾で腰に手当て、息吐く「シュー」
 鼻の奥しっかっり開けて、背側を意識して。
◯丹田使って「Zー」「Vー」
 ヒザ少し曲げ、少し前傾。使う時、今度ははね返ってくる感じ。
◯ウエストラインに手当て(両脇から)「Zー」「Vー」
 内側から押し返してくる感じ。


[2]発声

◯ハミング…できるだけ鼻のところから息が出るように。
 半音階で動かす。ファミファミファミファミファ
◯口の中を下を使って広げる。
 舌のストレッチ…舌をグーっと出したまま、ノドをほぐす。
◯「Ma」ドソミド(軽くスタカートで)
◯??ミミママミミママミミ(ソソファファミミレレドド)
 ??ミミメメママモモムム
◯大きくため息 上から 下から


[3]課題曲歌唱(課題曲:さくらさくら、他3曲より1曲選択)

◯各曲1回ずつ全員で

<♪花のまち>
◯前歯を噛んだまま、歌詞を読む(しゃべる)。軽く、息つなげて。
 舌の使い方、もっと奥の方で。
◯(前歯を噛んだまま)そのまま歌う。ノドを人指し指で触って。
 伸ばす音は、息が流れるだけ、力まない。
 口の前ではなく、少し奥まったところで。
◯「さびしく」息をうえに流して、歌う。
★鼻の声をノドに。

<♪朧月夜>
◯横隔膜、細くする。肩は上がらないように。脇腹に手が入る位。
 ミゾオチの真横。自分が中に入って、ヨイショを持ち上げる。
◯伸ばした後(特に付点四分音符)に止まってしまう。
◯フレージング:なのは なばたけに、みわた すやまの、ゆうづ きかかりて、
 のつもりで。
◯音かけ上がっていく時のフレージング
 た すやま のは…「や」3拍目、まじめに言い過ぎない
 づ きかかりて…「か」3拍目、まじめに言い過ぎない。
 「り」…「りぃ」と「い」を言ってはいけない。

<♪夏は来ぬ>
◯しねびーね もーらーす「ー」の部分の母音が聞こえてはダメ。前に出さない。
◯なつはきぬ(練習方法2つ)
 骨盤おさえて細くする。 重心モモまで下ろす。

<♪さくらさくら>
◯「A」…「みわたす」先ほどのフレージング(息つなげる)
・身体の前後の支えができると、ノドにテンションいらなくなる。
◯「母音」で。同じ母音続く時、押しやすい。
◯「子音」入れて。
◯<女性>イキが流れるr。身体のバランス(重心)探る。
 ピッチおちてくる。軟口蓋。
<男性>感覚として、もう少し軽く。裏声を使う、表声でなくて。
 (鼻つまんでやってみる)


◆本日の磯貝語録
音楽は勢い!鼻先とノドを使って口の中に息を流す。
フレージングをすること、音楽をすること。

◆本日の感想
正しく歌うと「歌」ってさわやかで、楽しいと思いました。

ことば初級:音声レッスン(6/8)

「ことばの意志と身体実感」

[1]ウォーミングアップ
 スワイショウ
 歩く、踵を使って大股で
  Aさん:腕を上げて
  Bさん:指折り数えながら。視線は下げない
  Cさん:腕を抱えて、後ろ手を組んで

[2]講義 「ことばの意志と身体実感」
・元来、人が生きているときには意志がある。
 そうなるようにテキストを読むにはどうしたらいいか。
 自分以外の人間をやるとき、その人間が自分とどれだけ離れているか。
 芸をやるには自分をのりこえる必要がある。その前に自分を知る。

Aさん:ゆっくり行動すると、癖がわかる。無意識を意識的にやってみる。

◎自分の資質の根幹にたどりつくとよい。
 自分を消す。もうひとりの自分をもつ。

 (((自己)自我(意識))身体)=自←→ことば←→他

 ことば=意識・意志・意味・感情・情態・声

・私を意識するとはどういうことか 脳内のヴァーチャルでなく身体的なもの
Ex-1 自分の実感で「生ビールですよ」
Ex-2 「ソフトクリーム 誰が食べたんだよ」 ことばに実感があるか
 自分の中か外にものがあるか、それをもらって頭や体が変化、反応する。
 反応したことを自覚することが「実感」すること。頭よりも体の反応。
Ex-3 「これは私の手です。」
 手は私の部分、言うのも私。私の意志・意識・実感
・自己実感には時間がかかる。情報の伝達だけは早い。
 実感の伴わない情報は情報として伝わり、相手の実感も薄い。
・実感がないと責任感も希薄になる。実感があれば「あ」「うん」で伝わる。
◎俳優は実感をつなぐ作業。

Ex-4 言っているセリフに実感があるか「これ」「は」「私」「の」「手」「です」
 「歩く」こと、「踵を出す」ことに実感がないと、その動作はできない。
 最後の一語まで実感して言い切ること。でなければ口先になる。
・実感を作り上げる。自分のことはなかなか実感しにくい。
 「何か」を認識して反応するが、反応した行為そのものは実感していない。
 実感を選別することと、実感をやり上げようとする意志、意識
 自分なりでなく自分を実感すること、そのための回路をつくる。
 「これは」「私の」「手です」空白も私にしてひとつにつなぐ。
・実感のできるスピードがある。それをつかむ。実感する。無理につなげない。
・脳の生理でなく、体の生理でやる。関係、生命感が生まれる。
 死にそうな生命感、苦しみの喜び、を実感する。
 手は口に近く、心臓に近いので、自己の代弁者になりうる。
◎脳・口は架空のこと、あごから下が「実」全体で感じる。
 手を感じるときにも足がある、全身がある。
◎自分自身を客観的に捉える皮膚感覚を使う。
 「私の考え」は頭の中でやるのと頭の皮膚でやるのとで全然ちがう。
 体の中に入ると力みやすい。皮膚でやると芸としてきれい。
 裸だと自分がわかる。服を着ると外がわかる。
・全身の皮膚を感じる。その中に「手」がある実感。
 実感を伝えられる音を声で出す。ストレートに出す。

Ex-5 皮膚感覚で「これは私の手です」いろいろな手があるのもみつけるとよい。
 実感があると声が出るし、ことばも出る。
 すべてを実感して表すのは至難の技なので、まずは自分を実感する。
◎表現は架空のものを自分の実感におしこめて表すこと。
 頭ばかりだとわざとらしい。内臓感覚だと重たい。

Ex-6 宮澤賢治「雨ニモマケズ」
 うたは「流れる」、謡は「ゆれる」
 「ワタシハナリタイ」未来・願望の自己実感、全ての行の自己実感
 一瞬一瞬に反応し、実感する。

 しばらくやる。
 具体的なこと、抽象的なこと、単純なこと
 実感を伴わなくなりやすい。
 実感ができると、声やことばが出る。
 「ツカレタ母」体全体、皮膚までつかれている。
 実感ができると、それに必要な音がわかる。


◆本日の磯貝語録
 自分の本来の資質、能力の根幹にたどりつくのは修業によるしかない。
 自分自身を実感するのにも時間やチャンスが必要だ。
 ことばはそのための1つの手はずだ。

◆本日の感想
 「これは私の手です。」という言葉がどう皮膚感覚をもとに喋れるのか、
 とてもむずかしかった。よく復習して考えてみたい。