講座テーマ「声の表現の可能性,即興と表現力①アドリブの原理と原則」
[Ⅰ]即興とは何か?
(1)即興とは。インプロイヴィゼーション(improvisation)
improvise:ある一定の流れがある。その中で、ふっと起こるもの
即興:ある状況で瞬間起こる情趣
即興は詩や音楽の中で起こるもの(=芸術においてあるもの)
「律」の中で人間を表そうとしていた。
律、掟が確立してきた。息苦しさから逃げる。飛び出すことを求める
→即興
improvisationは→ humanity≠機械的
・精神的・身体的に反射が重要になってくる
「即興」ー即時に興す。興る人間独自の状態。
(2)「興す」とはどういうことか?
表現にとって重要なこと。基本であり、原点である。
≠頭でやることではなく、原則身体的である。
<興っているとはどういう状態か?>
・想像と創造の境目は?
想像:今ここに起こっていないことを想定する。
今見えてないものを仮象として描くこと。
(3)言語による即興性
「興す」・その場のとっさの思いつき(impression)
感覚的に受け取った印象、感じ。
はっきり明確なものもあれば、ぼんやりしたものもある。
演習-1<言葉インスピレーションゲーム>/全員同一語に答える
①様々な単語・句・短文を受け、とっさに浮かんだことを言葉で表す
②単語から思いつくことをメモする/口頭で述べる
※最初に思いついたものを離さない。
※インスピレーションは説明抜き。単純明快な言葉が良い
◎瞬間に有効なインスピレーションが起こる練習
※パスした回数は書きとめておく。
※インスピレーション,イマジネーションはエゴイスティックなもの。
他人に影響されない。独自性が必要。
③口頭で述べる際、受けたこと、思いついたことを表現して出す。
※インプロ・アドリブは原則表現の世界。
◎イマジネーションの用件
・視覚的である。しかも立体的である。そして具体的である。
・出されたものの意味にとらわれない。
・平易な言葉からイマジネーションがはねるか/はねっかえる何かを作る。
・improvisationはリラックスしていてはだめ。意味感覚を持った反射。
improvisationに必要な緊張感がある。
※出された言葉の説明は面白くない。
※出された言葉に近づき寄り添っては発展は無い。
●反射するための「受け方」/次に表現する(出す)受け方・用意
<演習2>1対1
①出されたものに対し2音で答える。
②答えたものが有効かどうか周りがジャッジ
※もらったテーマに対しえ共通概念に持っていかない方がよい
◎improvisationに必要な頭の回路,身体の状態がある。
自分にひきつける(表現にならない)
(4)本日の実演の自己評価と感想を各自発表
・説明じゃないことの重要性、むしろ発展
・説明は存在を消す
◎improvisationの目的は自己変革
・受けたものを視覚化すると間に合わない。受けるのは皮膚感覚
※Visualなイマジネーション不適格。Visualなイメージはとらわれてしまう
・知覚反射だと面白い
・聴覚器官だけでなく、口・鼻・発音器官で音を捉えようとする。
・蓄積の少なさ。発想の貧困さを痛感
→それが求められる環境、訓練の影響 (ex.)伝統芸能
⇒(表現をするなら)その準備は必要
・伝承性,伝達性と現在性
・声とことばの表現の伝承性の問題
声とことばのimprosation
興す=身体的に興る(≠視覚的)
<演習>①単語(題)が与えられる
②それに対し身体と音声(≠言語)で思いついたことを表現
※興したイマジネーションが伝わっているか?発散ではない。
(5)<演習2> 3人1組
①単語(題)が与えられる
②1人目→2人目と続けて音声(オノマトペ)で思いついたことを表現
③周りが評価
・1人でやっているよりも沸かせられる
・2人のほうがダイナミック
[Ⅱ]ユーモアについて考察
improvisation=humanity
その根底にはhumourがなけれがならない。
◎improvisationはおもしろくなければならない。
(1)humourとは?(全員発表/個人意見)
・明るい
・社会常識から外れたちょっと外側にあるもの。
・受けた人が笑う材料
・優しさの表現の一つ。場を和ませる→笑いが生まれる
・身体性(表に出てくる身体性)/声・言葉以前に伝えられるもの
◎全身体表現≠humour
◎共感性がある/共有性がある
→共有性の原因がどこにあるか?
・ストレスを感じないもの。気持ちよくなる
・笑いとユーモアの違い:ユーモアの方が品がある。
・意外性(共感できる)≠独自性
・人間らしさ
・ほっとかない
・笑いの中に温かみ、優しさがある。
・教養・一定の背景が必要
◎※生きている喜び。人間を肯定するという根底
・視点を変えて面白いと思わせたらユーモア
「おもしろいとは?」:誰もが考えればわかるが、誰もが考えれられないこと
○おもしろいとは?/感覚的だが、感情の一部、情動
・意外性 ・現実とのギャップ
・許容できる意外性
※humour は表現性があるのか?言語性は?身体性は?
・「あぁ、そうだね!」という発見につながるのがユーモア
・緊張と緩和
・誰も傷つけない
・センスの問題がある
・人間くささを充分に満たしたところにある
→着眼点としての「人間らしさ」→表現にする際、はずす
・他者を豊かにさせるのがhumour
・次元、視点をかえる。矛盾をうまく表現するのが芸のhumour
◎そもそもの事がる。そのものをするのではなく、そこから発生したもの。
そもそもの事はなくなってはならない。その誤差が面白い。
⇒表現するには身体性を通して実体化する
1.センス
2.品格
3.知性
4.即興
(2)調音演習
上顎 イウオア
下顎 エアオ
上顎→下顎 「イ、ウ、オ、ア、エ、ア、オ」
◆本日の磯貝語録
即興にも質がある。感性、知性が大いに影響している。即興は人の行為で
あり、能力である。
◆本日の感想
説明でなく人を説得する生の力を見た。身体で反応する即興の重要点が
分かった。普段自分がいかに理屈で考え、とらわれているかよく判りました。