2014/07/08 (Tue) 19:30
声の学校・言葉の学校 (7/8)
担当講師 磯貝靖洋
講座テーマ 「使える声の呼吸法①―届く声の呼吸―」
[1] 準備体操―IM身体法・股割り他
[2] “呼吸が粘る”(息を捻る、息をつかむ)ということ
手の指を2本ずつ(人差し指、親指)ねばるようにあわせていく。
→5本すべて合わせる、そのあと手をこする。
(両手を同じようにする)
指をほぐし、手の平全体をほぐす
◎「粘り」…若い人は好まない
精神的な粘りだけでなく、食べ物の粘るもの
“粘りは感覚”であるから、時間できると粘れるようになる。
人間は真ん中がとれていれば、周囲が少し揺れたり傾いたりしても良い
◎響きは音の粘りの一種である。
⇒アニメの人間の動きは、揺れがある。(特にジブリ作品では)
ゲームの動きはゆとりがなく、動きから動きへ移動させる。
◎人間は絶えず、ゆれている。
人間は自己完結しないで、行くつくところは⇒粘りである。
「イエアオウ」…決めても動いてしまう。「粘りがある」と考える
呼吸…息を入れて(鼻呼吸)、口から吐く。
粘りがないと口呼吸になる。
Q:「イエアオウ」「鼻呼吸」「息の支え」は
何故必要なのだろうか?
ひとつに集めて行うのか?
A:決めたものの周囲にゆれがあるから。
核、芯になるものがないと、ぼんやりしてしまう。
人に伝える時に上手く伝わらない。
物を自分の頭で認知することと、声やことばを出すことは、
一致するだろうか?
仮説として考えたことをはっきりさせるには、自然界では
必ず揺れているから、定まらない。
揺らがないように、何とか決めようとする。
◎頭の中(脳細胞)のクセ(思考、感受、認知,etc)がある。
現代人は、多くの刺激の中で生きている。
じっとしていることはなく、静止しているつもりである。
(分子認識―物事すべて分子レベルで考えること。)
何かを見た時、残像がある。
何かを聴いた時、そのすぐ後には残聴がある。
物事は、単体(ユニット)するのではなく、繋がっている
ものと考えてみる。
[3]体感を知る(様々な粘りの世界)
○手の平を合わせ、強く押す。⇒話すとベタつき部分的離れる
押す行為…首、背骨、腰、足裏も使っている。
離す時…粘りのある状態から、ある点を境に左右手が離れる。
物を食べると胃の中で分解酵素が働く。
◎酵素…「触媒」による生体について
1+1=2 単純な数学の計算どおりにいかない。
すっきり数で決められない数学がある。
○自然界の酵素⇒粘り(化学作用の物理現象化)
◎呼吸運動…人に伝えられるように遠くへ声を飛ばす必要がある。
粘着力がある…「ア」の音を出す。
◎音に粘りがあった方が、良い音になる。
音楽家たちは、音に粘りがあることを知っていく。
◎長く音をキープ出来る⇒粘りがある。
呼吸に粘りがあると、声帯から粘りがある音声が出せる。
粘りがあれば、声とことばは、聞いている人には、わかる。
◎『口跡』がはっきりしていて、粘りがある声をだせると良い
握手の時も、手に平の感触に敏感であれ!
粘りを感じ取り、粘りを発すること。
サバサバしてはいけない。丁寧であること。
自分の感触が残ること。
[4]声、ことば、音の生体(Bio)について。
「ア」と発する時…丁寧に聞かせる。
方法が分かっていても、いい「ア」伝わる「ア」にはならない。
やり方ですべてを実行しても、伝わらない。
Q:人に伝わる「ア」はどのような音だろう?
A:粘りがあること。
聞く人が納得して受け取れる「ア」を発する。
・丁寧に発する
・届ける先がある、届く声を出す。
音のイメージを理解できるように言語化する。
◎音の粘り=響きである
◎音の残響があるように、呼吸、舌の使い方、
喉の使い方、身体をつくっていくことが重要。
機能的な音も出せなければいけないが、
人が聞きやすい音(声)が必要。
◎粘りがある=響きがある。
単純な響きでなく、聞かせやすい、
相手が聞きやすい響きをつける。
呼吸法が必要になる。
粘りのある声で会話する。その楽しさを知るべきである。
今日は、受講生が納得できる、いい酵素で説明した。
○すべての人に通用するスタンダードをつかまえること。
「軸」「核」をシャープにとらえること。
○言葉は原則、人間的であること。
相手が理解できる「ア」母音、音をつくること。
一つのチャンネルでわからなければ、他のアプローチで
考え、探ってみること。
必ず相手のため、発する人の自己満足ではいけない。
○自分が作品を伝える仕事とは。
そのものが持っている仕事。そのものの中に言葉が
あること。
自分をなくしてはいけないが、3%程度あればよい。
○利他的であること。
能舞台では自分がなくなる。とても楽になる。
○聞き手に台本がない時、台本の内容を届けるように
伝えること、読む事が重要である。
○響き、粘りをつける、発声法、呼吸法を身につける
必要がある。
◆本日の磯貝語録
粘りのある声を出せるようにする。粘りは響きである。
聞き手が受け取って納得できる音、言葉を伝えること。
◆本日の感想
使える声をつくるのもむずかしいが、その先の本来の、
よりましな声はどういうことかを勉強しました。
とてもむずかしいけれど、なんだかとても納得しました。
ありがとうございました。