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月刊「聲の力」 第17号(2017年 4月25日 発行)

▼月刊『聲の力』2017年4月号▼━━━━━━━━━━━━
本メールは「声とことばの磯貝メソッド」がお届けするニュースレターです。
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文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。
「文字ノ精ハ人間ノ頭脳ヲ犯シ、精神ヲ痲痺セシムルニ至ッテ、スナワチ極マル。」
単なるバラバラの線に、一定の音と一定の意味とを有たせるものは、何か? ここまで思い到った時、古代アッシリヤのナブ・アヘ・エリバ博士は躊躇なく文字の霊の存在を認めた。

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■□千年前の文字をあなたの声で立体化!?/月一芸能表現講座『源氏物語と声』■□
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昨年の11月から始まった、月一芸能表現講座『源氏物語と声』が新章に入りました。
悪戦苦闘しながらも【桐壺】を読了し、今期は第九帖【葵】です。
源氏物語屈指の名場面「車争ひ」、光源氏の長子・夕霧の誕生、謡曲「葵上」で有名な六条御息所の生霊、葵の死、「紫の君」との結婚等々、見せ場満載でとてもドラマチックな帖です。

「源氏物語の講座はどんな事をやっているのですか?」と云う質問をよく受けますので、ちょっと内容をかい摘んでご紹介したいと思います。

まず午前中は、源氏物語についての簡単なディスカッションや、古典を読む上で必要となる身体法等が中心となります。また、日本人としての「佇い(たたずまい)」についても学びます。

休憩を挟み午後は、ひたすら全員で素読をします。そう、ただ在るがままに読むのです。世界に誇る文学と対峙するには、俄か仕込みや付け焼刃の知識と解釈など何の役にも立ちません。唯一の拠所は生身の肉体です。千年前に記された文字を立体化する為に、己の声を駆使します。その一文字一文字が素直な音となり、心地の良い声で言えた時には、何となく内容がわかってくるから不思議です。それどころか何度も、何度も声に出してゆくと、景色や色、音、香、味、肌触りまで感じられるような気になります。これぞ我々の持つ日本人のDNAの成せる技なのでしょうか?

さて、素読の際のポイントをひとつ。
日本語の文書はそもそも筆による縦書きです。そこで、一文字一文字を筆で縦書きする如く流れるように読んでみます。短冊に和歌を書きながら声を出すつもりで、身体で音を実感します。すると、古典の世界と現代の日常生活とでは情報量の質が違うことが明確にわかります。

それでは皆さんも、ご自分のお名前で試してみて下さい。実際にご自分の人差し指と中指を筆に見立て、目の前の空気中に名前を書きながら声に出して見て下さい……。如何ですか、自分の中に眠る日本人のDNAが目を覚ましましたか(笑)。漢字だけでなく、平仮名、片仮名と色々試してみて下さい。それぞれ違った発見があります。流石にローマ字でやってみると、「あぁ、縦書きではないな」と実感します。

月一芸能表現講座は、我々の中に眠る「日本人」と出会う講座です。それは同時に「声とことば」の源流を辿る旅でもあります。ご興味ある方は是非一度体験してみてください。
【源氏物語『葵』】は10月1日に行われる、ヴォーカル・アーツ・シアターで上演される演目のひとつに予定されていますので、乞うご期待!

磯貝先生曰く「源氏物語は文化を超えて文明である。」

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■□ 私の推薦図書 /中島敦 作『文字禍』■□
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冒頭でご紹介した文字の精霊ついてですが……、実は中島敦の短編『文字禍』からの抜粋です。
中島敦と言えば、教科書にも載っている『山月記』や『名人伝』等が有名ですが、将来を嘱望されながら34歳で夭折した悲運の作家です。
この『文字禍』は、碩学の老博士が文字の精霊達に挑む一方的な戦いを、真面目且つユーモラスに語ります。
文字を睨み続けた博士に生じた怪現象がおかしくも恐ろしく、そして落語のオチのような意外なラストを迎えます。
古い小説だからといって侮るなかれ。文字と情報に溢れている現代社会を生きる我々こそ身につまされるテーマです。
ことばを介して、声と文字は表裏一体。だからこそ「声とことば」を学ぶ我々も、文字の驚異をよく知っておく必要があるのではないでしょうか?
短くて読み易い物語ですので、是非、声に出して読んでみて下さい。
中島敦はこの他にも『憑依』という、古の語り部を主人公にした作品でも言葉の一面を言い当てています。もしかすると彼も「声とことば」の関係に強い関心を持っていたのかもしれません。〈喜〉

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■□ 磯貝メソッドからのお知らせ ■□
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[1]【5月~】「磯貝メソッド東京塾」2017年度前期(5~8月)参加者募集中!
――声とことばの基礎講座が、目的別の3講座展開に!

1.「声のLesson」土曜朝/水曜夜
 ◎声が小さい、通らない、すぐ嗄れるなど発声に問題を感じている方
 テーマ:呼吸・発声・発音

2.「ことばのLesson」土曜朝/木曜夜
 ◎しゃべりにくい言葉があるなど活舌に問題を感じている方
 テーマ:子音調音・活舌・アクセント・イントネーション

3.「コミュニケーションのLesson」火曜夜
 ◎人前で話す機会のある方、または面接対策に。
 テーマ:話し方・説明・会話・プレゼンテーション・スピーチ

[2]ボイスチェックは、大型連休最終日 5/ 7(日)の開催です!
――声とことばの健康診断です。日本語を話す全ての方へ。次回は 7/17(月祝)。
http://www.voice-check.com/

[3]Vocal Arts Service Center 10周年
―― Vocal Arts Service Centerは2017年7月7日に10周年を迎えます。
http://isogai-method.com/archives/1321
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