2月22日(木)歌・演奏
[1]「日本語」について(磯貝塾長)
・今までの日本、日本人、日本語は「自分」の「思い」を「言うだけ」の文化
であった。人に「伝える」ことが欠落していたと云える。それゆえ、日本人は
喋り方が下手である。自己の思いを客体化する考え方が下手であるという
ことであり、即ち主観中心で生きており、自己中心的で孤立につながると
いうことである。
・人間が動物と違う点は、言葉を話すこと、笑うことにある。
・物の考え方は話し方にも現れ、話しや喋る作業は私有化言語となり、自分の
所有感や関係を話す事が主体となる。
・一方、喉で喋ることは、共有言語化となる。人に分からせよう、客観化しようと
しているときに起こる。人にわからせようとすることは、頭の働き方が普段と
変わり、育つことにつながる。(客体化脳の発達)
◎自己中心であるということは、自己が発達、発展しにくいこととなる。
次につなげる(=進化)、継承するという横(同世代の人々)と縦(次世代)
へのつながりが切れるからである。これは文化、個体の両面において言え
ることである。
・「言葉」そして「Arts」の面から、日本人、日本の文化をたてなおすことができ
る。それは、どちらも共感が生まれる。人と人が生きあうということから言える。
[2]クラシック声楽においての日本語
・クラシック声楽というのは、自分の思いをやることではない。また、発声にだけ
気を配るものではない。音楽をやること、そして聴いている相手に伝えること
である。
・特に、オペラでは、相手役がおり、動きも必要となる。
歌曲を歌うときより、より立体的な世界となる(多次元性)。
・クラシック声楽において必要なのは、譜面に書かれている思考過程および
音楽上必要な声が出せるということ。そのために、何が自分にとって障害と
なっているのか、自分で考えること。他人の評価を受け入れること。
・喋る人間が声を出して歌を歌うことが聴いている人に伝われば、自分に実感
が出てくる。そうすると、自分の精神状態は変化する。
◎創作詩の発表
課題:「私は卵から生まれた人間です」または
「もしも隣の人が宝くじで1000万当たったら」
・詩は説明になってはいけない。なるべく説明を排除し、心の核心をつくこと。
感性の展開を行うこと。
・伝える人を特定して書くこと。広く一般にというのは詩にならない。
相手との関係性が大切である。「自分のために書かれた」と
相手が思ったときに感動が生まれる。
・言葉を自分語にしないこと。「自分」と「周り」を区別して認識すること。
しかしながら、詩が完成してしまったものには、音楽はつけられない。
◆本日の磯貝語録
「自分」と「周り」を区別して認識すること(自と他の正確な分離)。
2007/02/22 (Thu) 20:00