講座テーマ「キャラクター その外側と内側」
〔1〕和服あるき
男性:下腹を下におろし、腰を返し、丹田ささえ、重心を足下に。
女性:袖先を摘み、肘を曲げながら小股歩き。
※背が高い人は、重心を思いきり下げて歩く。膝をグッと曲げる。
※頭、首、背、全ての感覚が一本に繋がっていること。
※歩くのは大腿で、立つのはふくらはぎでやること。
磯貝塾長による講座
〔2〕「劇の虚と実」について
・ひとつのことをやろうとしていても、別のことが起こってくる。それが人間。
定まらない。
・リアリズム表現とは、身体的、肉体的である。
・コンピューターの出現により、そこに居なくても、会話でき、コミュニケートでき
るようになった。実生活が直接見えるものと、見えないものを同時に使用して
いる。
・体が考えていることが、頭にいき、リアリティにつながる。出ている言葉がかな
らずしも正しいとは限らない。
◎劇をつくっていくうえでの俳優の特権は、化けることである。
・現実で実感できることだけでは、つまらない。人を騙すことほどおもしろいもの
はない。
・なぜ嘘をついているのに、全員しらをきって、正しいことを探そうとするのか?
そのことを考えるのは、アーティストとして必要なこと。
・芸術には、答えがない。だからどんなことでも考えられる。
◎現実的なものからしか、感じとれないのは、大変さびしい。
芝居とは、実と虚と行き来するものなのだから。
・波乱万丈であるほうが、人間らしく生きられるものだ。
〔3〕キャラクターを創る:老けという現象
演習(1)「40年後の自分を作ってみよう!」
セリフ「こんばんは」(入って来てフトンに座る。左右を見、自分の世界をつくる)
・老人の仕種、状態、声などを観察してみる。何を変えたのか。
背中の支えを変えた、ゆっくり喋った、みぞおちをおとす、体を硬くした、
顎を狭く突き出す、腰が曲がる、舌を脱力、目を細める、オトガイをゆるめる、
肩が落ちる…
◎先ず身体的な特徴を細かく考える。
・手の甲に人の年が表れる。手の甲を80代にリアルにつくり、腕までつくれれ
ば、そこからつかんでいける。
演習(2)自分の手の甲に思いきりシワをつくってみる。両手にシワをつくった時の
実感。
・声が変わるのは、肺活量や声帯が筋肉の変化だ。それはどういう実感かを、
必死に探すこと。老人とは?老いるとは?
・俳優は演じるための引き出しを常に必死でつかんでいくこと。
◎見えているものから、それにつつまれていたり、裏にある見えてないものを捉える
力が必須である。外形で見せるか?必死で外形をつくることは、実はその内を
同時につくっていること。外面は内面があるから、リアリズムになる。
・真実をみつけようとすること、老人がなんなのかを具体的にすること。善がある
から、悪がある。表があるから、裏がある。
◎表れていないものを、表わすことが、表現である。
演習(3)シワクシャの手(両手)のまま、顔、口をつくる→何を感じ、どう思うか?
皮膚や筋肉が衰え、消化器官は活発だが、排泄器官は劣化していく。身体の
劣化により、精神も劣化していく。入れ物の身体をつくると、精神回路まで出来
てくる。
・何かを演ずる時、納得しきったら、ダメになる。不安定要素(嘘)をいかにたもて
るかで芝居のおもしろさは出てくる。
・人の観察を現実でとらえること。感性には、具体性があり、五感がともなう。
・感覚とは、ひとつの所からではなく、いろいろな所からあらわれる。
・考えるのは、抽象的に、思うというのは、具体的に出来ること。
・人間は格好つけなくなったら、老人化していると言うこと。
・見えているものをとらえて、見えないものをとらえる。おもしろいぞ!
◆本日の磯貝語録
・人は多チャンネルに出来ている。単チャンネルではもったいない。
・アーツは現実の確認ではない。なにかを発見しなくてはならない。
・人が見えない所まで、見て想像するのが、俳優の資質
◆本日の感想
キャラクターを演じるための想像力の乏しさを痛感。本当にそのキャラクターに
なるためには、キャラクターの「実」と「虚」をとらえないとウソになる事が分かっ
た。やはり「虚―実」の命題は俳優の必須事項なのですねぇ…
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