5月11日(日)声・ことば表現テーマ別
講座テーマ「泉鏡花 天守物語」
[1]歩行チェック
(1)2人で向かい合って歩く+会話をしながら(喋りながらキレイ歩けるか)
(2)1人直線歩行と五母音発声
・踵を出す・肩は自然に振る・腕は胴の少し後ろに引く。背中や頭で顔をコント
ロールする。
◎見られている、見せているという意識を半々で持つ。ほおばった状態で言葉
を入れる→浮き気味に
・イ(中心から)、エ(口の中で響きをつくる)、ア(歯に当てない)
・オ(懸壅垂。出した音が戻ってくる)、ウ(唇音はダメ。口の前でうがい)
・ウは喉・鼻で響かせる。本来はエネルギーの高い音なので出すのが大変。
・自分の喋っている実感よりや、口のどこにあたっているかよりも、全体で調和
の取れた響きをつくる。
きちんと佇まったらば、イエアオウができる そして歩く
◎これは非常に大変なこと これをやる
(3)再度、2人ペアになって喋りながら歩く(会話) 歩きながら語るのを見せる
◎何かを始めたら「見せている、聞かせていると強く意識する」
→役をやるのであって、自分をやらない。
客がいるステージだとという意識を持つ(稽古段階でも)
→「人と共有できる意味を持つ」→ 生命感=美意識
これを新たに作ることが、私たちの仕事。
・根源的なものがあるか、今はそれが欠けている。
・どうなるか分からないから、流される。何をどうするかを明確にし、具体化さ
せる。
・「先」は、何なのかを考えていく。漠然を思わない。サンプルはない。
[2]テキスト演習「天守物語」
(1)概論と復習
・鏡花を大きくつかむ
・天守物語を大きくつかむ
→これを常に抑えておく。
・我々の仕事は、テキストをそのまま表面的に整えることではない。
様々な解釈をして、新しい世界として提示することである。
・冒頭シーン:意味がつけられなくてはいけない
◎解釈と意味づけを明確にする。
*幕が開いたら、いかに早く"こういう世界なんだ"ということを客に分からせ
るか。
*役者と作家しかいない。演出家が幅をきかせているのは、役者が勝手がで
きない ダメ →役者の勝手が勝手すぎるのもダメ。
(2)読み合わせ
◇P81~ 天守夫人登場まで
・幕開きのシーンは、何を現そうとしているのか?
・P79のト書きから探っていく。
夫人が帰る前に花を釣っている→天の花or地の花か→解釈は?
セリフの意味を探る→他愛のないセリフの意味づけが難しい。
◇P81 L3から
・「いい見晴らし・・・」とは? 薄はいくつなのか?
◎セリフを鵜呑みにしない。何を意味しているのかを必ず考える。
◎役をもらったら、自分なりにつくってくる力が必要。あわせてみておかしけれ
ば、どんどんとつくり変えていく。複数のつくりができるように。
◎芝居は役者がつくるもの。個人で役はきちんとつくってくる。
・四重、五重のあいだに断絶がある。五重は別世界。四重、五重の差は何か?
・獅子頭が動く・・・など → 現実世界と霊界。
・時間や起こっていること、人間関係などを、文学的にとらえることと、
上演するために-何を見せるか、どう聴かせるか、どう空間化するか-
→これは、役者が考えることで、演出家が考えることではない。
きた役をものにするために、発明をする力が欲しい。
◇P81 L7
女郎花のセリフ→具体的だが何を表しているか。
・五重は、外から認識はできるのか。上からみると下からみるとどんなふうに
見えるか。
・次元の違い→五重でおこっている世界はなんなのか。
◎意味づける→意味づけるのが芝居なのだ。
◇P79 L11
・視覚的な説得性が薄いと、客には分からない。
(見せたら、その役を性格づけることになる)
・役の日常をつくる。細かく読み込まないと演じられない。
・書いてあることだけをやらない。生活を造りだすこと。
・役がどんな仕草で、何を伝えようとしているか。セリフ外のときに、何をしてい
るのか。それらを埋るが、役者である。
・五重の世界を具体的に想像設定する。
・下界と何がどの様に同じで、何が違うのか。
・侍女たちは何だろうか。→仕事なのか、死なないのか、年は?日ごろはどう
しているの?
*役者は、宝探し。そのままをやらない。
◇P85 夫人帰宅から
◎シーンをつぶしていく。
・夫人と薄が対話をしている間、他の侍女たちは何をしているのか。
・とっても具体的にしていく、しかしファンタジーを出して。
・薄と、他の侍女との関係?現実的なところ、ファンタジーのところ
・夫人の移動手段は?空を飛ぶ?など、いろいろつくり出していく。
その仮想そのものを頭から取り出して実際のものにする。でなければ、演じら
れない。
◎どこまで広げられるか。深められるか。どんでん返しをつくれるか。
◇ P90~L10 読み合わせ
・地上界の様にリアルな世界
・魔界、霊界など、非リアルな世界
↓
これらをどう具体化していくか。
適当なところで終わらせず、より細かく考えて行く。
◎セリフの少ない脇役を、しっかりとつくることがおもしろい。
◎セリフの多い役は、身動きできない。脇ができてくると、姫君たちもできてくる。
◎キャラクターが、実在的、非実在的→非実在的なほうが、多彩な声が必要。
思いつきよりも、考え出す
◆本日の磯貝語録
・書かれた文字は、その裏に沢山のものを含んでいる。
・喋るその言葉の中には、沢山のものが含まれている。
◆本日の感想
いい役者への道は果てしなく遠い。
2008/05/11 (Sun) 23:00