1月21日(水)俳優ことば
講座テーマ「 セリフの技術―Ⅱ 人間像の実態を知る ③」
〔1〕ピアノから出る音を側頭上部でとらえ(受け)、更に心でとらえる。
①上のミの音を聞いた時、身体のどこでとらえたか、響いた所を指でさし
てみる。(目を閉じて受けないこと!!)
・音は瞬間だから、考えている暇がない。
・あるものを、どうやって正確にとらえるか、出ているものをストレートに受け
ないと自分の好きなようにしか台本を読めなくなる。
〔2〕「受ける→聴く」を考える。
Q:「発することに関する要求と受けることの要求、あなたはどちらが多い
ですか?今まで受けることのやり方を学びましたか?そして学ぶ前と
後では違いますか?」と皆に問う。
・それぞれに違うけれど、演ずる(表現する)ためには、受けることが出来
ないと発することが出来ない。
・受ける人(相手側)の事を考えてやらないと、押し付けになってしまう。
・受ける訓練をすべきである。自分化してしまうと伝わらない。
・耳の上、コメカミ辺りで、音を受けるととらえやすい。
・言葉には意味がある。それを伝えるために音がある。
・閉じて受けているのは、自分のフィルターで防御していることになる。
・音を聞いた時に開いていると、きたものを受けることができる。
〔3〕前回の宿題である、チェーホフについて調べる(河上さん)と「かもめ」に
ついて調べる(木村さん)を発表。
・ただ、書かれているものだけでも出来るけれど、それでは芝居にならな
い。演ずる立場で、このチェーホフのテキストを読み込んでいく事。
・テキスト解体は、演者(やるため)の勉強が第一目的ではない。見る側の
ために知る。客は我々より余程良く知っている、という立場をとるため。
・「かもめ」から自分の考えを見つけて、“どう感じたか”とらえて、書かれて
いるどのキャラクター(役)に、惹かれるかを考える。
・書いてある言葉を私の心がどのようにひっかけてとらえているかを気づく
こと。
◎戯曲は、生きた人間をやるのだから、心の多面性がないと読めないし、
演じられない。
・ロシア芝居は、リアリズムを入れること。年齢やそこに行くまでの人生を
決める。
・外国の文化は批判に照らされるもの。何かを出すってのは、それを潰さ
れるものだと思って出す。
・演ずる自分の特徴をとらえたうえで、役を作っていく。
・辻褄があっていなくとも、心が通っていれば良い。
間(ま)の間に、心がどうなっているのかを作る。
・心を動かして、心を変えて、自分の心にウソがつけるかどうか。
・書いてある文字から心をみつけ、心のゆれを表現するのが俳優。
・私の心は基本、ウソ。だから探すんだ。
◆本日の磯貝語録
・精神的肉体関係があるのが、今の日本人。
・戯曲を読むには、多面境の心が必要。
◆本日の感想
その言葉にふさわしい心があり、その心はそれにふさわしい声を持ってい
る。それを探し、生きたものにあらわすのが俳優の仕事だと言われた。何
と素敵な仕事なのか。
2009/01/21 (Wed) 23:00