1月28日(水)俳優ことば
講座テーマ「人物の心」
〔1〕チェーホフの時代
○チェーホフの時代(1860~1904年)は、ロシアの変革期で、文学上新しく発見
されるべきものより、全てのものが打ち崩されなければならない時であった。
地球上で同時代に、各地で同じ事が多発する事実がある。
○本来心は多様で、いまその何が現われているかを知ること。
○本を読んだ時→自分で分かるように理解する(1回目)
→誰もが納得出来る解釈を見つけ出す(2回以降)
◎「共有」について→台詞の中の多様な心の中から、共有出来るものを見つけ
出してゆく。
自分の個的または独創的な心ではなく、他人と共有出来
る心。
◎「解釈」ということ
そこに書かれた文章、言葉、文脈等を通し、共有な心を見つけ出すこと。
○「さあ、どうかな?」を各自、様々演じて見る。
どんな心か全員で討論し、他人の読みを真似して心をつくってみる。
○独言でも客に聞かせること、伝わるように話すこと。
〔2〕「かもめ」セリフ演習 p.12~
○他人の言い回しでも、自分が共有出来る物は積極的にやってみる。
○口先セリフでなく、そのセリフの心(今回は他人のもの)をつかむこと。
○その役のそのセリフの動機をしっかりとつかまえる。
○思いつきでなく、反復出来る心をつかみ取ること。
○文字の裏側にある“心”をまず決めなければならない。
◎心というのは、自分の胴体(はら)の中にある。
(技術的には、腹の落とし方・重心・ささえの使い方)
○他の役のセリフを聞く時は、頭の耳聴きでなく、深い心で聞くこと。
◎原則:台本に書かれている事は全てやる(言う)
台本に書かれいない事は言わない。
例:、。 … ― etc.
内容、どういうもの、どうする、どういう等
間、タイミング、強弱、早さ等は心の動き方により、最適なものを見つけ
だす。
◎「心」には方向があるが、セリフが進むに従い、方向が変わることが多い。
しかし、次に向かう方向は、ほとんど次のセリフに答えが書いてある。
・人の心や気持ちは、喋ると変わって行くもの、他人のセリフを聴くと変わってゆ
くもの。
◎セリフから「他人の心を見る」「自分の心をつくる」のが、役者の仕事。
◆本日の磯貝語録
多様な心の中から共有できるものを見つけていくのが、演劇の解釈、役者の仕
事。
◆本日の感想
口調やテクニックではなく、心のベクトル、ポテンシャル、そのモチベーションが、
セリフに生命を与えるのだなと思われました。他人の心を見る、聞く力こそ、役者
の力だと実感しました。
2009/01/28 (Wed) 23:00