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セリフの技法(1/21)                         《ことば系》

1月21日(木)セリフの技法

講座テーマ「生きた台詞にするということ」

・「しゃべっている台詞が生きているか。その役の生活ができていますか?」
 が基礎。そこから始まる。
・出していることば:自然に出しているので生きている
   VS 書かれた台詞:死んでしまう
 「生きた台詞 VS 死んだ台詞」とは?
・設定された条件の中で、生きた台詞にするのが俳優。
・自分が変わっても、役は変わらない。― 実年齢と役の年とのギャップ
・最近の傾向:あて書き←俳優が役を作り出すのとは逆方向。
         自分の思考でできるもの。スライディングできるもの。

〔1〕生きた台詞を追求する。

 (1)そもそも演劇とは何かを演じ手側から考えること。

  ※台詞が生きていれば、観客は良かったと思う。
・「生きている」ということを見せる。― 観客はそれを見にくる。
  何が、みんなが楽しむことができるのか?
・「生きた台詞」の経験は? VS 「芝居になっていないよ」
・ 生きた台詞とは? 
 -Aさん:新鮮味のあることば。そこで起こっていることへの反応がある時。
   会話劇-「前に言った人を受けてのことば」
   一人台詞-「自分が言ったことを受けてのことば。」
・生きた台詞の経験、失敗した時は?

 (2)文脈(context)って何? 文脈の実感はあるか?

文脈:1つの芝居の文脈、台詞の文脈、条件となっていること…

 ‐Bさん:文そのものの書かれている字義以外の脈絡、表と裏
 ‐Cさん:文字と文字とのつらなり→関係、時間の流れ
       文脈はどちらかというとストーリー?
   →劇にするには「文脈=あらすじ」だとあまりよくない。
 ‐Dさん:どちらかというと「あらすじ」と捉えていた。

・O氏の発言:本当は何を言いたいのか?裏 VS Hさん:表のみ、コラージュ発言
・ジャンルによって、文脈の捉え方が違う(小説、童話、劇…)→それを研究するのが文学(部)
芝居(台詞)のコンテクストとは― 字義通りのものでない、含まれたもの。
      ↓
台詞からの文脈とり―言っている台詞から伏せられた関係、過去、思惑など
 探り出す。
  志賀直哉や芥川作品は、その場で文脈が生まれ流れ出てくる→天才型
  井上ひさし:先にゴールを決めて、逆算して書く→努力型
  井上 靖:計算しなかった。→辻褄があわなくなると、そこでやめる。

◎芝居:1つの台詞が1シーン。次の台詞は別の人→別のシーン
    しかし、前の台詞に大きく影響を受ける。縛られる。
    芝居の文脈はどう起こしてゆくか?
    
 ‐Eさん:話の流れから、字義以外を想像する。
・文章は話そのものではない。簡略や説明を入れている。
    →口伝から文字化→基本的に「しゃべっている」
 「生きている」:見えている、触れるもの以外の沢山で成り立っている。
    関係しあう→「しくみ」(構造) ⇒ 文脈とは「しくみ」

 ‐Fさん:心の葛藤、下に流れている心の交流。

〔ホワイトボード〕
 生きた台詞
  ・文脈(context)
  ・仕組み
  ・読み取る

Ex-(1)
ページ:Cさん、クイックリー:Dさん、エバンス:Bさん
p.112~116
 ◎シェークスピア劇は、計算して、書き直しを重ねて、書かれた作品が少なく、
  その台詞の中に沢山の事が秘められていた。

〈Ex-(1)の評〉
・言っていることはわかるが、「それを芝居にして欲しい!」。各自に“劇”が興って
 いない。書いてある通りの頭しか動いていない。困ってもないし、葛藤もないし、
 矛盾もない。相手に対し、言っている事以外を感じてない。
 ストーリーを通そうとしすぎていて、ウソが作れないので、良くできたロボット
 ゼリフだ。ちょこちょこっと、陰や裏があって欲しい。

◎芝居・戯曲をよく読んでいる人⇒ストーリーを進行していくような読み方はしない。
 ストーリーの説明をしない。
◎俳優はストーリー主義になってはいけない。ストーリーは結果だ。分かっている
 結果への予定調和に、生きた劇は生まれない。
字義通りの裏が文脈。
 
Ex-(2)
p.112 幕開き ページ夫人の台詞
  ・じゃあ、もうあの男は…

〈評〉全て具体的な文言ではない。しかも他の前ゼリフはなし。
   その事だけ言われても、客は一体何の事やら分からない。
   そのため、ページ夫人は、一語一語を分かってないものとして、
   考えたり、探したり、時間を使ったセリフにすると良い。

◎クイックリー夫人
〈評〉頭で読む(小説読み)のではなく、頭で作りながら喋るとよい。
   (読みながら、躊躇していないといけない)

 実生活:立て板に水ではなく、探り合いながら話している。
     口よどみながら言う。何を相手が言っているか。ほとんど相当無責任。
     思ったより、もたついたり、考えもしないで反射的に早口だったり。
 セリフ:無駄を省いたり、裏を作ったりしているので、実生活の頭脳や感情では
       ない。しっかり作られている。
 
「生き生きしている」喋りとは?
 自分で意識しないで早口になったり、つっぱしったり、躊躇したり、それをどう
 作っていくか? 口調、スピード、タイミング→それをどう作ってゆくか。
 
◎エヴァンズ  相手に向かってしゃべる。
〈評〉我々にとって、一般的キャラクターでなく、言葉も特殊である。
   最初から作ってしまうと、ロボット的、造り物となり、生々しくなくなる。
   セリフことばは、自分の生活言語でないので、変にすると失敗する。
   人間が生きているということに置きかえて作る事が重要。
   セリフの表面にまどわされない、労費させられない方が良い。
   私の人間性が出張して、その役をやらないといけない。

 ◎具体的には、
「今、私がこの言葉を言っているよ」という体と心の実感が全身になくちゃ
ダメだ。そのセリフを通して、今の自分を少しでも多く感じ取ろうとすること
だ。何でもいいから、その言葉は口と喉ではしっかりと言っていること。うまく
行けば、そのセリフが自分の思考や感情を探し出してくれる。


・自分の裏側はあまりはっきりしていない―避けて通ろうとする。

・ロボットにならないためには、人の血をかりないといけない。
 表向きの人間ではなく、自分という人間の理解、察知力。
 ~ing で「自分は嘘つきだな、こんなバカなことやって…」と思う自分
 →それが「自分」
・1つの感情に対して、脳がスイッチングで正否を作り出している。
・自分の裏を知っているか? 考えたことあるか、実感しているか?
 1つのセリフの中に、表と裏が出てくる。
・自分が縛られているものは、裏となっている。

『文脈含みの、しかも生きた台詞にするには』
①自分そのもので読んでみる→自読み。役読みをしない。
②繰り返していると、自分との差を実感し始める。
③“自己感”の部分を全身表現してみる。
④落ちたセリフ部分を、ゆっくりと小さな声で腹に向かい繰り返してみる。
 納得できるものが生まれてくる。

◎世の中で一番生々しいのは、今現在の自分である。それをつかんでいない
 俳優は芝居ができない。

◆本日の磯貝語録
 俳優はストーリー主義作になってはいけない。
 今の瞬間をどれだけ広げるかが仕事だ。

◆本日の感想
 生きた台詞や文脈を考え、つかまえ、更に分からないテキストには自分で
 つかまえようとしなければいけないことを学びました。本格的でなくても、
 そうやって来たようにも思います。
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